【看護学生必見】免疫システム完全攻略|獲得免疫編~T細胞・B細胞・抗体を徹底解説~
前編では自然免疫について学びましたが、今回は免疫システムの第三段階である「獲得免疫」を徹底解説します。獲得免疫は自然免疫では対処できない強敵に対して、より精密で強力な攻撃を行う特殊部隊です。
特に看護国家試験では、ヘルパーT細胞の司令官としての役割、キラーT細胞とB細胞の違い、免疫グロブリンの種類、ワクチンの原理など、獲得免疫に関する問題が頻出します。この記事では、複雑な獲得免疫の仕組みを軍隊の作戦になぞらえて、わかりやすく解説していきます。

前編の復習|自然免疫から獲得免疫へ

まず、前編で学んだ自然免疫の要点を簡単に復習しましょう。
自然免疫の重要ポイント(復習)
- 好中球 – 最初に駆けつける特攻隊、細菌を貪食
- マクロファージ – 貪食と抗原提示の二刀流
- NK細胞 – ウイルス感染細胞やがん細胞を即座に破壊
自然免疫は即座に対応できる強みがありますが、以下のような弱点もあります。
- 敵を記憶できない(次回も同じスピードでしか対応できない)
- 強力な敵には勝てないことがある
- 細胞内に潜んだウイルスには対処しにくい
そこで登場するのが「獲得免疫」です。
獲得免疫とは?|記憶と学習で進化する免疫システム
獲得免疫は自然免疫とは異なる特徴を持っています。
| 比較項目 | 自然免疫 | 獲得免疫 |
|---|---|---|
| 反応速度 | 即座(数時間以内) | 遅い(数日~1週間) |
| 記憶 | できない | できる |
| 攻撃力 | 弱い | 強力 |
| 主要細胞 | 好中球、マクロファージ、NK細胞 | T細胞、B細胞 |


獲得免疫の二つのルート|液性免疫と細胞性免疫

獲得免疫には二つの攻撃ルートがあります。
獲得免疫の二つのルート
- 液性免疫(ミサイル攻撃) – B細胞が抗体を作って、血液中の病原体を攻撃
- 細胞性免疫(直接攻撃) – キラーT細胞が感染細胞を直接破壊
この二つのルートは、敵の種類や状況によって使い分けられます。血液中を漂う細菌やウイルスには液性免疫、細胞内に潜んだウイルスやがん細胞には細胞性免疫が効果的です。
ヘルパーT細胞|獲得免疫の司令官
獲得免疫の中心となるのがヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞は自分では直接攻撃しませんが、他の免疫細胞に指令を出す司令官のような存在です。
ヘルパーT細胞の重要な役割
- 抗原情報の受け取り – マクロファージや樹状細胞から敵の情報を受け取る
- 状況判断 – どの免疫細胞を活性化させるべきか判断する
- 指令の発動 – サイトカインという物質を放出して、B細胞やキラーT細胞を活性化させる
ヘルパーT細胞がいないと、B細胞もキラーT細胞も十分に活性化できません。つまり、ヘルパーT細胞は獲得免疫全体の司令塔なのです。

ヘルパーT細胞の活性化プロセス
ヘルパーT細胞が活性化されるまでの流れを見てみましょう。
- マクロファージや樹状細胞が病原体を貪食
- 病原体の一部(抗原)を細胞表面に提示(抗原提示)
- ヘルパーT細胞が抗原を認識
- ヘルパーT細胞が活性化して増殖
- サイトカインを放出して、B細胞とキラーT細胞に指令を送る
この一連のプロセスには数日から1週間かかります。これが獲得免疫の反応が遅い理由です。
液性免疫|B細胞が作る抗体ミサイルで攻撃
液性免疫は、B細胞が作り出す「抗体」を使って病原体を攻撃する仕組みです。抗体は血液やリンパ液の中を流れて、標的となる病原体を見つけ出します。
B細胞の変身|形質細胞への進化
B細胞は以下のステップで抗体を作る工場「形質細胞」へと変化します。
- 抗原の認識 – B細胞が病原体の抗原を直接キャッチ
- ヘルパーT細胞の確認 – 同じ抗原を認識したヘルパーT細胞と出会う
- 二段階チェック – 抗原認識+ヘルパーT細胞の許可が揃って初めて活性化
- 形質細胞に変化 – 抗体製造工場へと進化
なぜ二段階チェックが必要なのか?B細胞が勝手に抗体を作ると、自分の細胞まで攻撃してしまう危険があります。これが自己免疫疾患の原因になります。二段階チェックによって、本当の敵だけを攻撃する仕組みになっているのです。


抗体の働き方

抗体には主に以下の3つの働きがあります。
| 働き | 説明 |
|---|---|
| 中和 | 病原体やウイルスにくっついて無力化する |
| オプソニン化 | 病原体に目印をつけて、マクロファージが食べやすくする |
| 補体の活性化 | 補体という別の免疫システムを起動させて攻撃を強化 |
免疫グロブリン|抗体の5つのタイプ
抗体には5つの種類(クラス)があり、それぞれに異なる役割があります。看護国試では特にIgM、IgG、IgA、IgEの4つが頻出です。
主力部隊:IgMとIgG

| 免疫グロブリン | 特徴 | 覚え方 |
|---|---|---|
| IgM | 初期対応の特攻部隊。感染初期に最初に作られる | M=まず最初 |
| IgG | 血液中に最も多い主力抗体。胎盤を通過できる唯一の抗体 | G=元気な主力 |

特殊部隊:IgA、IgE、IgD

| 免疫グロブリン | 特徴 | 覚え方 |
|---|---|---|
| IgA | 唾液、母乳、粘膜に存在。侵入を防ぐバリア | A=母(あ)乳 |
| IgE | アレルギーや寄生虫感染に関与 | E=えー!アレルギー |
| IgD | B細胞の表面に存在。役割は不明な点が多い | D=どうなの?(謎) |
国試頻出ポイント
- 感染初期に上昇 – IgM(初期対応)
- 血液中に最も多い – IgG(主力部隊)
- 胎盤通過可能 – IgG(母から子へ)
- 母乳に含まれる – IgA(赤ちゃんを守る)
- アレルギーに関与 – IgE(花粉症など)

筋肉の収縮と同じように、免疫細胞も連携して働いています。アクチン・ミオシンの筋収縮メカニズムと比較すると、細胞の働きの共通点が見えてきます。
細胞性免疫|キラーT細胞の直接攻撃ルート
液性免疫が抗体というミサイルで攻撃するのに対し、細胞性免疫はキラーT細胞が直接敵を破壊します。特にウイルスに感染した細胞やがん細胞に対して効果的です。
キラーT細胞の攻撃方法
キラーT細胞は以下の手順で標的を破壊します。
- 標的の認識 – ウイルスに感染した細胞やがん細胞を見つける
- 接近 – 標的細胞に密着する
- 毒素の注入 – パーフォリンとグランザイムという毒素を注入
- アポトーシス誘導 – 細胞の自殺プログラムを起動させる
- 破壊完了 – 標的細胞が死滅し、マクロファージが片付ける

液性免疫と細胞性免疫の使い分け
| 攻撃ルート | 主役 | 得意な敵 | 攻撃方法 |
|---|---|---|---|
| 液性免疫 | B細胞(抗体) | 血液中の細菌・ウイルス | 抗体で中和・オプソニン化 |
| 細胞性免疫 | キラーT細胞 | ウイルス感染細胞・がん細胞 | 直接破壊(アポトーシス) |
記憶細胞とワクチンの原理|二度目は許さない
獲得免疫の最大の特徴は「記憶」です。一度戦った敵の情報を記憶細胞が覚えているため、次回は素早く対応できます。これがワクチンの原理でもあります。
一次応答と二次応答の違い
| 項目 | 一次応答(初感染) | 二次応答(再感染) |
|---|---|---|
| 反応速度 | 遅い(数日~1週間) | 速い(数時間~1日) |
| 抗体量 | 少ない | 大量(10倍以上) |
| 主な抗体 | IgM → IgG | 主にIgG |
| 症状 | 発症することが多い | 発症しない or 軽症 |

記憶細胞が作られるプロセス
- 初感染または初ワクチン接種
- B細胞とT細胞が活性化
- 一部がメモリーB細胞、メモリーT細胞として体内に残る
- 同じ病原体が再侵入すると、記憶細胞が即座に反応
- 大量の抗体を速やかに産生し、病原体を撃退
内分泌系の調節メカニズムも免疫と密接に関わっています。詳しくは内分泌系ホルモン総まとめ後編をご覧ください。
まとめ|獲得免疫は記憶と精密攻撃の特殊部隊
今回は獲得免疫について詳しく解説しました。最後に重要ポイントをまとめます。
獲得免疫の重要ポイント
- ヘルパーT細胞 – 司令官として全体を統括、サイトカインで指令
- 液性免疫(B細胞) – 抗体を作って血液中の病原体を攻撃
- 細胞性免疫(キラーT細胞) – 感染細胞を直接破壊
- 免疫グロブリン – IgM(初期)、IgG(主力・胎盤通過)、IgA(母乳)、IgE(アレルギー)
- 記憶細胞 – 二次応答で速く強力に反応、ワクチンの原理


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前編と合わせて完全マスター
今回の後編で獲得免疫を学びましたが、前編の自然免疫と合わせて理解することで、免疫システムの全体像が完璧に見えてきます。
前編をまだ読んでいない方は、ぜひ前編から読んでみてください。自然免疫(好中球、マクロファージ、NK細胞)の働きを理解することで、獲得免疫への橋渡しがよりスムーズになります。



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