【看護学生必見】実習で困らない!呼吸器アセスメントの完全攻略法
看護学生の皆さん、こんにちは!看護学生アドバイザーのかずです。呼吸器実習を控えている皆さん、または現在呼吸器実習中の皆さん、「呼吸器のアセスメントって何を見ればいいの?」「聴診器で何を聞けばいいかわからない…」そんな悩みを抱えていませんか?
呼吸器系は生命に直結する重要な器官系でありながら、多くの看護学生が苦手意識を持つ分野の一つです。しかし、正しい知識と観察ポイントを押さえれば、実習でも自信を持ってアセスメントできるようになります。

なぜ呼吸器アセスメントが難しいと感じるのか?
多くの看護学生が呼吸器アセスメントを難しく感じる理由には、以下のような要因があります。
- 目に見えない変化を把握する必要がある:呼吸は内部の変化であり、外見だけでは判断しにくい
- 正常と異常の判断基準があいまい:個人差が大きく、何が正常範囲なのか迷う
- 聴診音の判別が困難:教科書の知識と実際の音に差があると感じる
- 疾患と症状の関連性が複雑:一つの症状が複数の原因から生じる可能性がある


呼吸器系の基本的な解剖生理(実習で必要な部分)
実習で効果的なアセスメントを行うためには、呼吸器系の基本的な構造と機能を理解しておくことが重要です。ここでは実習で特に必要な知識に絞って復習していきましょう。
呼吸器系の構造
呼吸器系の主要構造 | ||
---|---|---|
部位 | 主な機能 | 実習での観察ポイント |
鼻腔・口腔 | 空気の加温・加湿・フィルタリング | 口呼吸の有無、鼻閉の程度 |
気管・気管支 | 空気の通り道、異物除去 | 咳嗽の性状、喀痰の有無 |
肺胞 | ガス交換(酸素と二酸化炭素) | 酸素飽和度、呼吸音の変化 |
胸郭・呼吸筋 | 呼吸運動の実行 | 胸郭の動き、補助筋の使用 |
呼吸のメカニズム
呼吸は吸気と呼気の2つの過程から成り立っています。実習では、このメカニズムの異常を早期に発見することが重要です。
正常な呼吸のメカニズム
- 吸気:横隔膜と外肋間筋が収縮→胸腔内圧低下→空気が肺に流入
- 呼気:横隔膜と外肋間筋が弛緩→胸腔内圧上昇→空気が肺から流出
- ガス交換:肺胞と毛細血管の間で酸素と二酸化炭素を交換
- 制御:延髄の呼吸中枢が血中CO2濃度を感知して調節
正常な呼吸のアセスメント方法
実習で最初に身につけるべきは、正常な呼吸パターンを正確に評価する技術です。異常を見つけるためには、まず正常を知ることが大切です。
バイタルサインとしての呼吸
呼吸のアセスメントは、まず基本的なバイタルサインの測定から始まります。
呼吸のバイタルサイン評価項目 | ||
---|---|---|
評価項目 | 正常値・正常状態 | 測定のコツ |
呼吸数 | 成人:12〜20回/分 安静時、規則的 |
1分間しっかり測定 患者に気づかれないよう注意 |
呼吸の深さ | 胸郭の適度な挙上 腹式呼吸との協調 |
胸部と腹部の動きを観察 左右差の有無を確認 |
呼吸リズム | 規則的 吸気:呼気 = 1:2 |
一定時間観察してパターンを把握 不整があれば詳しく記録 |
酸素飽和度 | 96〜100% (健康成人の場合) |
安定した波形を確認 末梢循環の状態も考慮 |

呼吸アセスメントの重要ポイント「呼吸は意識的にコントロールできるバイタルサイン」
患者さんが測定に気づくと、無意識に呼吸パターンを変えてしまう可能性があります。自然な状態での呼吸を観察することが重要です。
パート1では、呼吸器アセスメントの基礎となる知識と正常な呼吸の評価方法について学びました。次のパート2では、実際の疾患別アセスメントについて詳しく解説していきます。
実習でよく出会う代表的な呼吸器疾患
パート1で基礎知識を確認したところで、今度は実習で実際によく出会う呼吸器疾患について学んでいきましょう。それぞれの疾患には特徴的な症状や観察ポイントがあります。

1. COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDは実習で最もよく出会う疾患の一つです。主に長期間の喫煙が原因で、気管支や肺胞が破壊される進行性の疾患です。
COPD患者のアセスメントポイント | |
---|---|
特徴的な症状 | • 労作時呼吸困難(階段昇降、早歩きなど) • 慢性的な咳嗽と喀痰 • 口すぼめ呼吸 • 樽状胸郭(進行例) |
呼吸パターン | • 呼気延長(吸気:呼気 = 1:3〜4) • 補助呼吸筋の使用 • 起座呼吸(重症例) |
聴診所見 | • 呼気時の wheeze(笛様音) • 呼吸音の減弱 • 心音の聴取困難(肺気腫による) |
観察のコツ | • 日常生活動作での呼吸困難の程度を確認 • SpO2の変動パターンをチェック • 喀痰の性状変化に注意 |
2. 肺炎
肺炎は年齢を問わず発症する可能性があり、急性期から回復期まで様々な段階の患者さんに出会う機会があります。
肺炎患者のアセスメントポイント | |
---|---|
急性期症状 | • 高熱(38℃以上) • 膿性痰の増加 • 胸痛(深呼吸時に増強) • 頻呼吸・頻脈 |
呼吸状態 | • 浅く速い呼吸 • 鼻翼呼吸(重症例) • チアノーゼ(酸素化不良時) |
聴診所見 | • 湿性ラ音(fine crackles) • 患側の呼吸音減弱 • 胸膜摩擦音(胸膜炎合併時) |
観察のコツ | • 意識レベルの変化に注意(高齢者は熱が出にくい) • 水分摂取量と尿量のバランス • 喀痰培養の結果と抗菌薬の効果 |
3. 気管支喘息
喘息は発作性の疾患のため、寛解期と発作期で症状が大きく異なります。実習では発作の予防と早期発見が重要なポイントとなります。
気管支喘息患者のアセスメントポイント | |
---|---|
発作時症状 | • 呼吸困難(特に呼気困難) • 発作性の咳嗽 • 胸部圧迫感 • 不安・パニック状態 |
聴診所見 | • 高調性の wheeze • 発作時は両肺野に広がる • 重症発作では「Silent chest」 |
前兆症状 | • 鼻水・くしゃみ • 軽度の咳嗽 • 胸部不快感 • ピークフロー値の低下 |
観察のコツ | • 誘因となる因子の確認(アレルゲン、ストレス等) • 薬物使用状況(吸入薬の手技確認) • 日内変動パターンの把握 |


症状別のアセスメントポイント
疾患名がわからなくても、症状から適切なアセスメントを行うことができます。実習では症状を正確に観察し、記録することが重要です。
呼吸困難のアセスメント
呼吸困難の評価ポイント
- 誘因:安静時 / 労作時 / 体位変換時
- 程度:Hugh-Jones分類やBorg scaleで評価
- 性質:吸気困難 / 呼気困難 / 混合性
- 随伴症状:胸痛、動悸、発汗、チアノーゼ
- 緩解因子:安静、酸素投与、薬物等
咳嗽・喀痰のアセスメント
咳嗽・喀痰の観察ポイント | ||
---|---|---|
観察項目 | 正常・異常の判断 | 実習での記録方法 |
咳嗽の性状 | 乾性咳嗽(空咳)/ 湿性咳嗽(痰がからむ) | 「コンコン」「ゴホゴホ」など擬音語も活用 |
喀痰の量 | 少量(<10ml/日)/ 中等量(10-30ml/日)/ 多量(>30ml/日) | 実測値で記録(ml)、見た目での推定も併記 |
喀痰の性状 | 透明 / 白色 / 黄色 / 緑色 / 血性 | 色調、粘稠度、臭いも記録 |
時間的変化 | 起床時 / 日中 / 夜間の差 | 時間毎の観察記録を残す |

聴診のコツと異常音の判別
実習で最も緊張する技術の一つが聴診です。ここでは実践的な聴診のコツと、よく聞かれる異常音について解説します。
聴診成功のポイント「環境・技術・経験」の3つが重要
- 環境:静かな場所、適温、プライバシーの確保
- 技術:正しい聴診器の使い方、適切な部位と順序
- 経験:多くの患者さんの音を聞いて比較する機会
パート2では、実習でよく出会う呼吸器疾患の特徴と、症状別のアセスメントポイントについて学びました。次のパート3では、実際の看護技術と患者さんとのコミュニケーションについて詳しく解説していきます。
実習で必要な呼吸器関連の看護技術
パート2で疾患別のアセスメントを学んだところで、今度は実際の看護技術と援助方法について解説していきます。実習では知識だけでなく、実践的な技術が求められます。

1. 酸素療法の管理と観察
酸素療法は呼吸器実習で最もよく関わる治療の一つです。投与方法や管理のポイントをしっかり押さえておきましょう。
酸素投与方法別の特徴と観察ポイント | |||
---|---|---|---|
投与方法 | 酸素濃度 | 適応 | 観察ポイント |
鼻カニューレ | 24-40% (1-6L/分) |
軽度低酸素血症 長期酸素療法 |
鼻粘膜の乾燥 カニューレの位置 |
酸素マスク | 35-60% (5-10L/分) |
中等度低酸素血症 短期間使用 |
マスクの密着度 皮膚のただれ |
リザーバー付きマスク | 60-100% (10-15L/分) |
重度低酸素血症 緊急時 |
リザーバーバッグの膨らみ 呼吸パターンの変化 |
酸素療法の安全管理ポイント
- 流量確認:指示された流量が正確に設定されているか
- 加湿器の管理:水位、清潔度、交換時期の確認
- チューブの管理:屈曲や外れがないか定期的にチェック
- 効果判定:SpO2値、呼吸状態、意識レベルの変化
- 副作用対策:乾燥による鼻出血、皮膚トラブルの予防
2. 呼吸理学療法の基本技術
呼吸理学療法は痰の排出を促進し、肺機能の改善を図る重要な看護技術です。実習では基本的な手技を学ぶ機会があります。
体位ドレナージ
体位ドレナージの実施方法 | ||
---|---|---|
対象部位 | 体位 | 実施時の注意点 |
上葉 | 座位または半座位 | 呼吸困難がある場合は無理をしない |
中葉・舌区 | 左側臥位(中葉) 右側臥位(舌区) |
患者の体力と耐性を考慮 |
下葉 | トレンデレンブルグ位 (頭低位) |
頭部挙上困難な疾患では禁忌 (心疾患、脳血管疾患等) |
スクイージング(胸部圧迫法)


スクイージング実施のチェックポイント
患者さんとのコミュニケーション技術
呼吸器疾患の患者さんは呼吸困難により不安を感じやすく、コミュニケーションにも配慮が必要です。効果的なコミュニケーション技術を身につけましょう。
呼吸困難時のコミュニケーションのポイント
呼吸器患者とのコミュニケーション技術 | |
---|---|
話すタイミング | • 呼吸が安定している時を選ぶ • 処置中は短時間の確認程度に留める • 患者のペースに合わせて待つ |
質問の仕方 | • Yes/Noで答えられる質問から始める • 「はい」「いいえ」で答えられない時は、うなずきやジェスチャーも活用 • 一度に多くの質問をしない |
不安への対応 | • 「息苦しいですね、大丈夫ですよ」などの共感的言葉かけ • 呼吸法の指導(腹式呼吸、口すぼめ呼吸) • そばにいることを伝える安心感の提供 |
家族への配慮 | • 家族の不安にも耳を傾ける • 病状や治療について適切な情報提供 • 家族ができる支援方法を一緒に考える |
実習記録の効果的な書き方
呼吸器実習では、観察した内容を正確に記録することが重要です。記録のコツを押さえて、効率的で質の高い記録を作成しましょう。
呼吸器系記録のフォーマット例
S.O.A.P記録のポイント(呼吸器系)
- S(主観的データ):「息苦しい」「痰がからむ」など患者の訴え
- O(客観的データ):バイタルサイン、聴診所見、SpO2、喀痰の性状など
- A(アセスメント):データの解釈と根拠、看護問題の抽出
- P(計画):具体的な看護介入計画と評価方法

記録時短テクニック
呼吸器実習記録の時短テクニック | |
---|---|
テンプレート活用 | 基本的な記録フォーマットを作成しておき、患者別にカスタマイズ |
略語リスト | よく使う医療用語や状態の略語をまとめたリストを作成 |
リアルタイム記録 | 観察時にすぐメモを取り、後でまとめる時間を短縮 |
数値の重要性 | 曖昧な表現より具体的な数値データを優先的に記録 |
パート3では、実習で必要な看護技術、患者さんとのコミュニケーション、そして効果的な記録の書き方について学びました。最後のパート4では、国家試験対策と実習経験を活かす方法について解説していきます。
呼吸器分野の国家試験頻出ポイント
実習で学んだ知識を国家試験に活かすために、呼吸器分野でよく出題されるポイントを整理しましょう。実習での経験があると、より深く理解できる問題が多くあります。

頻出テーマ1:酸素療法と酸塩基平衡
- 酸素流量と酸素濃度の関係:鼻カニューレ1L/分 = 約24%
- COPD患者の酸素療法:高濃度酸素によるCO2ナルコーシスのリスク
- 酸塩基平衡の基準値:pH 7.35-7.45、PaCO2 35-45mmHg、HCO3- 22-26mEq/L
- 呼吸性アシドーシス:COPD増悪時の典型的な血液ガス所見
頻出テーマ2:疾患別の症状と看護
国試頻出:疾患別重要ポイント | ||
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疾患 | 国試頻出ポイント | 実習との関連 |
COPD | • 口すぼめ呼吸の効果 • 長期酸素療法の適応 • 増悪因子(感染、大気汚染) |
実習で見た呼吸パターンや生活指導の場面を思い出す |
肺炎 | • 誤嚥性肺炎の予防策 • 抗菌薬の選択と投与期間 • 重症度判定(A-DROP等) |
実習での口腔ケアや体位変換の意味を理解 |
気管支喘息 | • β2刺激薬の作用機序 • 重症発作の判定基準 • 吸入薬の正しい使用方法 |
実習で見た吸入指導や発作時の対応を振り返る |
頻出テーマ3:呼吸理学療法と看護技術

- 体位ドレナージの禁忌:頭部外傷、脳圧亢進時はトレンデレンブルグ位禁忌
- 酸素濃度と流量:リザーバー付きマスクは10L/分以下では使用しない
- SpO2の解釈:CO中毒では正常値を示すが酸素化は不良
- 呼吸数の測定:患者に気づかれると意識的に変化してしまう
実習経験を国試に活かす具体的方法
実習で得た貴重な経験を国家試験合格につなげるためのコツを紹介します。
経験の振り返りと知識の整理
実習経験活用の4ステップ
実習記録の見直し
受け持った患者さんの疾患、症状、看護について記録を確認
疾患の病態生理を復習
なぜその症状が出るのか、なぜその治療をするのかを理論的に理解
関連問題を解く
経験した疾患に関する過去問や模試問題を重点的に学習
応用問題への展開
類似疾患や他の患者設定での問題にも挑戦し、知識を広げる
呼吸器実習完全マスター チェックリスト
ここまでの学習内容を総まとめしたチェックリストです。実習前、実習中、実習後の各段階で活用してください。
呼吸器実習マスターチェックリスト | ||
---|---|---|
分野 | チェック項目 | レベル |
基礎知識 | 呼吸器系の解剖生理を説明できる | 基本 |
正常な呼吸のバイタルサインを評価できる | 基本 | |
代表的な呼吸器疾患の病態と症状を理解している | 応用 | |
アセスメント | 呼吸困難の程度を適切に評価できる | 基本 |
聴診で基本的な呼吸音の判別ができる | 応用 | |
喀痰の性状変化から病状を推測できる | 応用 | |
看護技術 | 酸素療法の管理と観察ができる | 基本 |
体位ドレナージを安全に実施できる | 応用 | |
患者の状態に応じたコミュニケーションができる | 応用 |


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まとめ:呼吸器実習を成功させるために
呼吸器実習は確かに難しい面もありますが、基本をしっかり押さえて、患者さんの状態をよく観察することで、必ず成長できる実習です。
- 基礎知識の確実な理解:解剖生理と疾患の病態を関連づけて学習
- 系統的な観察技術:決まった順序で漏れなくアセスメント
- 患者さんとのコミュニケーション:呼吸困難への配慮と共感的態度
- 適切な看護技術の習得:酸素療法や呼吸理学療法の安全な実施
- 継続的な学習姿勢:疑問点は即座に解決し、経験を積み重ねる

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