【看護学生必見】分娩期のアセスメントのコツ – 母性実習を乗り切るポイント7選
看護学生の皆さん、こんにちは!看護学生アドバイザーのかずです。今回は、多くの学生が不安を感じる「母性看護学実習」の中でも特に緊張する分娩期のアセスメントについて詳しく解説します。命の誕生に立ち会える貴重な経験をより充実したものにするために、ぜひ参考にしてみてください。

なぜ分娩期のアセスメントは難しいと感じるのか?
分娩期のアセスメントが難しいと感じる理由は主に以下の3つが考えられます。
- 急速に状況が変化するため、迅速な判断が求められる
- 母体と胎児の両方を同時に観察する必要がある
- 専門用語や特殊な観察項目が多い


分娩期とは?各期の特徴と観察ポイント
分娩期は大きく4つの時期に分けられます。それぞれの時期で観察するポイントが異なるので、まずは全体像を把握しましょう。
分娩期の区分と主な特徴 | |||
---|---|---|---|
時期 | 所要時間の目安 | 主な特徴 | 観察のポイント |
第一期 (陣痛開始~子宮口全開大) |
初産婦:12~14時間 経産婦:6~8時間 |
・子宮口が徐々に開大 ・潜伏期(0~3cm) ・活動期(4~7cm) ・移行期(8~10cm) |
・陣痛の間隔・強さ・持続時間 ・子宮口開大度と展退度 ・胎児心音 ・破水の有無と性状 ・産婦の精神状態 |
第二期 (子宮口全開大~児の娩出) |
初産婦:1~2時間 経産婦:30分~1時間 |
・怒責による児の娩出 ・会陰の伸展 |
・怒責の効果 ・胎児下降度 ・会陰の伸展状態 ・胎児心音 ・産婦の疲労度 |
第三期 (児娩出~胎盤娩出) |
5~30分 | ・胎盤剥離・娩出 | ・胎盤剥離徴候 ・出血量 ・子宮収縮状態 ・胎盤の完全性 |
第四期 (胎盤娩出~産後2時間) |
2時間 | ・産後の急性期回復 ・母子の初期接触 |
・バイタルサイン ・子宮収縮 ・出血量 ・会陰部の状態 ・母子の愛着形成 |

分娩期のアセスメントのコツ7選
1. 母体の状態観察
母体の全身状態を把握するために、以下のポイントを観察します。
母体観察の重要ポイント
- バイタルサイン:体温、血圧、脈拍、呼吸
- 陣痛の状態:間隔、持続時間、強さ
- 子宮口開大・展退度:内診所見
- 出血量・性状:パッドの交換頻度、血塊の有無
- 膀胱充満:排尿状況の確認
- 精神状態:不安、疲労、協力度
バイタルサインの観察では、以下の値を目安にしましょう。
- 体温:36.5~37.5℃(38℃以上は感染の可能性あり)
- 血圧:収縮期90~140mmHg、拡張期60~90mmHg
- 脈拍:60~100回/分(100回/分以上は出血や脱水を疑う)
- 呼吸:12~20回/分(20回/分以上は痛みや不安の強さを示す場合あり)
陣痛の観察では、各期で以下の変化が見られるのが一般的です。
- 間隔:初期は10分間隔→活発期は3~5分間隔
- 持続時間:通常40~60秒(90秒以上続く場合は過強陣痛の可能性)
- 強さ:触診やモニターで評価(弱・中・強)


2. 胎児の状態観察
胎児の健康状態を評価するために、以下のポイントを観察します。
胎児観察の重要ポイント
- 胎児心拍数:基線、細変動、一過性変動
- 胎児下降度:ステーション、回旋状態
- 羊水の性状:色、量、臭い
胎児心拍数の正常範囲と異常所見:
- 正常範囲:110~160bpm
- 基線細変動:5~25bpmの変動が正常
- 異常所見:
- 徐脈(110bpm未満)
- 頻脈(160bpm以上)
- 基線細変動の消失
- 遅発一過性徐脈(陣痛のピークから遅れて心拍数が低下)
胎児ジストレスのサイン以下の所見が見られた場合は、胎児機能不全(胎児ジストレス)を疑い、すぐに指導者や医師に報告しましょう:
- 遅発一過性徐脈の出現
- 基線細変動の減少(5bpm未満)
- 徐脈の持続(110bpm未満)
- 羊水混濁(胎便)
3. 分娩進行状態の評価
分娩の進行が順調かどうかを評価するには、パルトグラム(分娩経過図)を活用します。これは陣痛の間隔、子宮口開大度、胎児下降度などを時間経過とともに記録したものです。
正常な進行の目安:
- 潜伏期:子宮口開大が緩やかに進む
- 活動期:約1時間に1cmのペースで開大
- 第二期:適切な怒責により胎児が下降・娩出

4. アプガースコアの評価
アプガースコアは、出生直後の新生児の状態を評価する重要な指標です。生後1分と5分に評価を行います。
評価項目 | 0点 | 1点 | 2点 |
---|---|---|---|
皮膚色 | 全身蒼白またはチアノーゼ | 体幹はピンク、四肢にチアノーゼ | 全身ピンク |
心拍数 | 0 | 100回/分未満 | 100回/分以上 |
刺激への反応 | 反応なし | 顔をしかめる | 泣く |
筋緊張 | だらりとしている | 四肢をやや曲げる | 四肢を活発に動かす |
呼吸 | なし | 弱々しく泣く | 強く泣く |
評価基準:
- 7~10点:正常
- 4~6点:軽症仮死(多くは迅速な蘇生処置に反応)
- 0~3点:重症仮死(直ちに蘇生処置が必要)
5分後のスコアが1分後より改善していることが大切です。
5. 分娩期に使用する主な薬剤の理解
分娩期には様々な薬剤が使用されます。作用機序、副作用、観察ポイントを理解しておくことが大切です。
分娩期の主な薬剤と観察ポイント
- オキシトシン(アトニン-O)
- 目的:陣痛促進、分娩後の子宮収縮促進
- 観察:陣痛の間隔・強さ、胎児心拍数、子宮の緊張状態
- プロスタグランジン製剤
- 目的:子宮頸管熟化、陣痛促進
- 観察:消化器症状、陣痛の状態、胎児心拍数
- メチルエルゴメトリン(メテルギン)
- 目的:分娩後の子宮収縮促進、出血予防
- 観察:血圧の変動、子宮収縮、出血量


6. 分娩期に起こりうる異常と観察ポイント
分娩期には様々な異常が発生する可能性があります。早期発見のために以下のポイントを押さえましょう。
分娩期に起こりうる主な異常 | ||
---|---|---|
異常 | 観察ポイント | 対応 |
分娩停止 (微弱陣痛、遷延分娩) |
・陣痛の間隔、強さ、持続時間の変化 ・子宮口開大や胎児下降の進行停止 ・産婦の疲労度 |
・体位変換、排尿促進 ・医師への報告と指示確認 ・陣痛促進剤の準備(医師の指示がある場合) |
胎児機能不全 (胎児ジストレス) |
・胎児心拍数の異常(徐脈、頻脈、基線細変動の減少) ・遅発一過性徐脈や変動一過性徐脈の出現 ・羊水混濁(胎便) |
・左側臥位への体位変換 ・酸素投与 ・医師への報告 ・緊急帝王切開の準備 |
前期破水 | ・破水からの経過時間 ・体温上昇や悪臭(感染兆候) ・臍帯脱出の有無 |
・感染予防 ・バイタルサインのモニタリング ・医師への報告 |
分娩時異常出血 | ・出血量(500mL以上は異常) ・出血の性状(鮮血、血塊) ・バイタルサインの変化(頻脈、血圧低下) |
・子宮収縮薬の投与 ・子宮マッサージ ・医師への報告と指示確認 ・輸液、輸血の準備 |

7. 実習での記録のコツ
分娩期実習では、多くの情報を短時間で観察・記録する必要があります。効率的な記録方法を身につけましょう。
実習記録のポイント
- 時系列での記録:イベントの時間を必ず記録する
- 観察チェックリストの活用:観察漏れを防ぐ
- 略語を適切に使用:記録の効率化
- 客観的事実と看護師の判断を分ける:SOAPなどの記録形式を活用
実習記録に含めるべき主な情報:
- 母体情報:年齢、妊娠週数、産科歴、既往歴、分娩経過
- バイタルサイン:測定値と時間
- 子宮収縮:間隔、持続時間、強さの変化
- 内診所見:子宮口開大度、展退度、胎児下降度
- 胎児情報:胎児心拍数パターン、推定体重
- アプガースコア:1分値と5分値
- 分娩経過:各期の開始・終了時間、合計所要時間
- 出血量:総出血量と経時的変化
- 看護ケア:実施した看護援助と効果
実習での心構え
- 見学だけでなく、可能な範囲でケアに参加する
- わからないことは質問する姿勢を持つ
- 産婦のプライバシーと尊厳を尊重する
- 分娩の進行に合わせて行動できるよう準備する
- 体調管理をしっかりして、いつでも対応できるようにする


まとめ:分娩期のアセスメントで押さえるべきポイント
分娩期のアセスメントでは、陣痛の性質、胎児の状態、母体の全身状態、分娩進行状態など多面的な観察が重要です。今回紹介した7つのポイントを押さえて、実習に臨みましょう。
分娩期アセスメントの7つのポイント
- 母体の状態観察(バイタルサイン、陣痛、子宮口開大度など)
- 胎児の状態観察(胎児心拍数、胎児下降度、羊水性状)
- 分娩進行状態の評価(パルトグラムの活用)
- アプガースコアの評価(新生児の状態評価)
- 分娩期に使用する主な薬剤の理解と観察ポイント
- 分娩期に起こりうる異常の早期発見と対応
- 効率的な記録方法の習得
分娩は予測不可能な要素も多いですが、基本的な知識と観察ポイントを押さえておくことで、冷静に対応できるようになります。貴重な命の誕生の瞬間に立ち会う経験を大切にし、母性看護の素晴らしさを感じてください!

実習前にしっかり準備して、貴重な経験を最大限に生かしましょう。母性看護学の魅力をぜひ感じてください!
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