【看護学生必見】胸腔ドレーン管理を完全マスター!観察ポイントから国試対策まで
胸腔ドレーンは、呼吸器疾患や胸部外科手術後の患者さんに欠かせない治療器具です。看護学生の皆さんにとって、実習でも国家試験でも頻出の重要テーマですが、「水封って何?」「エアリークってどう見るの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、胸腔ドレーンの基礎知識から観察ポイント、トラブル対応、そして国試対策まで、全学年の看護学生が理解できるよう徹底解説します!

この記事でわかること
この記事で学べる内容
- 胸腔ドレーンの仕組みと目的
- 挿入が必要な疾患と適応
- 観察すべき重要ポイント(排液・エアリーク・水封)
- 起こりやすい合併症とトラブル対応
- 国家試験頻出ポイントと演習問題
胸腔ドレーンとは?基礎知識を押さえよう

胸腔ドレーンの目的
胸腔ドレーンは、胸腔内に貯留した空気や液体(血液・膿・胸水など)を体外に排出するための医療器具です。正常な状態では、胸腔は陰圧(大気圧より低い圧力)に保たれており、この陰圧が肺を膨らませる重要な役割を果たしています。
しかし、気胸や血胸、胸水貯留などが起こると胸腔内に空気や液体が溜まり、肺が圧迫されて呼吸困難を引き起こします。胸腔ドレーンを挿入することで、これらを排出し、肺の再膨張を促します。


胸腔ドレーンが必要な主な疾患
| 疾患名 | 胸腔内に貯留するもの | ドレーンの目的 |
|---|---|---|
| 気胸 | 空気 | 胸腔内の空気を排出し、肺の再膨張を促す |
| 血胸 | 血液 | 貯留した血液を排出し、出血量を観察する |
| 膿胸 | 膿 | 感染性の膿を排出し、胸腔内を洗浄する |
| 胸水貯留 | 胸水(漏出液・滲出液) | 過剰な胸水を排出し、呼吸状態を改善する |
| 術後(肺手術・心臓手術) | 血液・滲出液・空気 | 術後の出血や滲出液を排出し、合併症を予防する |

挿入部位の基本原則
胸腔ドレーンの挿入部位は、排出したいものの種類によって決まります。これは物理の法則を応用したもので、とても重要なポイントです。
挿入部位の原則
- 空気を排出する場合: 前胸部の上方(第2〜3肋間)→空気は上に溜まる
- 液体を排出する場合: 側胸部〜背側の下方(第4〜6肋間)→液体は下に溜まる
- 挿入時の体位: 通常は半座位または座位
胸腔ドレーンシステムの仕組み – 水封が重要!

胸腔ドレーンシステムの基本構造
胸腔ドレーンシステムは、主に以下の3つの部分で構成されています:
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
| ドレーンチューブ | 胸腔内に留置され、空気や液体を排出する管 |
| 排液ボトル(水封室) | 排出された空気や液体を受け、逆流を防ぐ水封機能を持つ |
| 吸引装置(必要時) | 持続的な陰圧をかけて排液を促進する(マイナス10〜15cmH2O) |
水封の仕組み – 胸腔ドレーンの核心!
胸腔ドレーンで最も重要な概念が「水封(すいふう)」です。水封とは、排液ボトル内に入れた水(通常は滅菌蒸留水)によって、外気が胸腔内に逆流するのを防ぐ仕組みです。

水封の3つの重要な役割
- 一方向弁の働き: 胸腔内の空気・液体は排出できるが、外気は入らない
- 呼吸性変動(水柱の揺れ): 呼吸に合わせて水面が上下する→これが正常なサイン!
- エアリークの確認: 持続的な気泡で空気漏れを発見できる
呼吸性変動って何?

水封室の水面が呼吸に合わせて上下することを「呼吸性変動」または「水柱振動」と呼びます。これはドレーンが正しく機能している証拠です。
| 呼吸の状態 | 水面の動き |
|---|---|
| 吸気時 | 水柱が上昇する |
| 呼気時 | 水柱が下降する |


胸腔ドレーンの観察ポイント – これを押さえれば完璧!
観察項目①:排液の性状と量
排液ボトルに貯留する液体の性状は、患者さんの状態を把握する重要な指標です。
| 排液の種類 | 特徴 | 考えられる状態 |
|---|---|---|
| 淡血性 | 薄いピンク色〜淡い赤色 | 術後早期、軽度の出血 |
| 血性 | 鮮紅色〜暗赤色 | 活動性の出血、血胸 |
| 漿液性 | 淡黄色、透明 | 胸水、術後数日経過後 |
| 膿性 | 黄緑色、混濁、悪臭 | 膿胸、感染 |
| 乳び性 | 乳白色 | 乳び胸(胸管損傷) |
緊急報告が必要な排液の変化
- 急激な排液量の増加: 1時間に100mL以上、または200mL/時以上
- 鮮血の持続: 新鮮な出血が続いている可能性
- 排液の急な停止: ドレーンの閉塞や屈曲の可能性

観察項目②:エアリーク(気泡)の有無
水封室で気泡が出ているかどうかの観察も重要です。エアリークとは、胸腔内から空気が漏れている状態を指します。
| エアリークの状態 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 呼吸時のみ気泡 | 正常(気胸の場合)または軽度のエアリーク | 経過観察、医師に報告 |
| 持続的な気泡 | 肺からの空気漏れが続いている | 医師に報告、吸引圧の調整 |
| 気泡なし | エアリークが止まった(良好)、または閉塞 | 水柱の動きを確認、呼吸音を聴取 |

COPD患者のエアリークが止まりにくい理由

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんは、肺気腫により肺の弾性が失われています。健康な肺が新しいゴム風船だとすると、COPD患者さんの肺は伸び切ったゴム風船のような状態です。
COPD患者でエアリークが起きやすい理由
- 肺の弾性低下: 伸び切ったゴム風船のように縮む力が弱い
- 肺が広がりにくい: 外側の胸膜にピタッと密着しにくい
- 慢性的な炎症: 損傷部分の修復が困難
- フィブリンの蓋形成が不十分: 空気漏れが止まりにくい

観察項目③:水柱振動(呼吸性変動)の確認
水封室の水面が呼吸に合わせて上下するかどうかを確認します。これはドレーンが開通しているかを示す重要なサインです。
| 水柱振動の状態 | 意味 |
|---|---|
| 正常な振動あり | ドレーンが正しく機能している証拠 |
| 振動なし | ドレーンの閉塞・屈曲、または肺の完全膨張 |
| 振動が大きすぎる | 吸引圧が強すぎる可能性 |

観察項目④:挿入部の状態
ドレーン挿入部位の観察も感染予防のために重要です。
- 発赤・腫脹: 感染の初期徴候
- 排膿・悪臭: 感染が進行している可能性
- 皮下気腫: 挿入部周囲を触ると「パリパリ」と音がする(空気が皮下に漏れている)
- 固定の緩み: ドレーンが抜けかけていないか確認
胸腔ドレーン管理の重要ポイント
絶対に守るべき管理ルール
絶対NGの行為
- ドレーンのクランプ: 緊張性気胸のリスクがあり、絶対にしてはいけない!
- 排液ボトルを胸より高く上げる: 逆流のリスクがある
- 水封の水を抜く: 外気が胸腔内に入ってしまう
- チューブの屈曲・圧迫: 排液・排気が妨げられる

正しい管理のポイント
| 管理項目 | 正しい方法 |
|---|---|
| 水封の管理 | 必ず滅菌蒸留水を使用し、適切な水位を保つ |
| 吸引圧 | マイナス10〜15cmH2Oに設定(医師の指示に従う) |
| 排液ボトルの位置 | 常に胸腔よりも低い位置に保つ |
| チューブの管理 | 屈曲・圧迫がないよう定期的に確認 |
| 体位変換時 | チューブの引っ張りや屈曲に注意 |


移送時・体位変換時の注意点
患者さんを移送する際や体位変換する際には、特に注意が必要です。
移送・体位変換時のチェックポイント
- 排液ボトルは必ず胸より低い位置を保つ
- チューブが引っ張られたり、屈曲したりしないよう注意
- 移動後は必ず呼吸性変動とエアリークを確認
- ドレーンの固定が緩んでいないか確認
起こりやすい合併症とトラブル対応
主な合併症
| 合併症 | 症状・徴候 | 対応 |
|---|---|---|
| 皮下気腫 | 挿入部周囲を触ると「パリパリ」音、腫脹 | 医師に報告、範囲の観察継続 |
| 感染 | 発赤、腫脹、発熱、排膿、悪臭 | 医師に報告、培養検査、抗菌薬投与 |
| 出血 | 鮮血の持続的な排液、血圧低下 | 緊急報告、バイタルサイン測定 |
| ドレーンの閉塞 | 排液停止、呼吸性変動消失 | 医師に報告、屈曲・血塊の確認 |
| 無気肺 | 呼吸困難、SpO2低下、呼吸音減弱 | 体位ドレナージ、排痰援助、鎮痛 |

無気肺の予防と対応 – 臨床でよくある問題
術後に無気肺(肺の一部が虚脱する状態)が起こることがあります。特に痛みで咳や深呼吸ができない患者さんに多く見られます。
無気肺予防のポイント
- 鎮痛薬の適切な使用: 痛みを我慢させない!
- 深呼吸・咳嗽の励行: 定期的な排痰を促す
- 体位ドレナージ: 健側下(良い方の肺を下)にする
- 腹式呼吸の指導: 胸式呼吸より痛みが少ない

まとめ:胸腔ドレーン管理のポイント
胸腔ドレーンは、看護学生にとって実習でも国家試験でも重要なテーマです。基本的な仕組みと観察ポイントを理解すれば、自信を持って管理できるようになります。
胸腔ドレーン管理の重要ポイントまとめ
- 水封は必須: 滅菌蒸留水で外気の逆流を防ぐ
- 呼吸性変動を確認: 水柱が動いていればドレーン開通
- エアリークを観察: 呼吸時のみか持続的かを判断
- 排液の性状チェック: 色・量・性状の変化に注意
- 吸引圧: マイナス10〜15cmH2O
- ボトルの位置: 常に胸より低く保つ
- クランプは絶対NG: 緊張性気胸のリスク
- COPD患者: エアリークが止まりにくい

胸腔ドレーン管理の流れ – 実習で使える!
| 時間 | 観察・実施項目 |
|---|---|
| 毎時 | 呼吸性変動、エアリークの有無、排液量 |
| 4時間ごと | 排液の性状、挿入部の状態、バイタルサイン |
| 適宜 | チューブの屈曲確認、ボトルの位置確認 |
| 体位変換時 | チューブの引っ張り・屈曲、固定状態の確認 |

看護師国家試験対策 – 胸腔ドレーン問題に挑戦!

ここからは、実際の国家試験レベルの問題に挑戦してみましょう。転写講義で学んだ内容も含めて、理解度をチェックしていきます!

問題1:基礎知識(難易度:★☆☆)
【問題】胸腔ドレーン挿入後、水封室の水面が呼吸に合わせて上下している。この状態について正しいのはどれか。
- ドレーンが閉塞している
- ドレーンが正常に機能している
- 直ちに医師に報告する
- 吸引圧を強くする必要がある
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【正解】2. ドレーンが正常に機能している
【解説】
水封室の水面が呼吸に合わせて上下すること(呼吸性変動・水柱振動)は、ドレーンが開通していて正常に機能している証拠です。吸気時に水柱が上昇し、呼気時に下降します。
もし水柱の動きが止まっている場合は、ドレーンの閉塞・屈曲、または肺の完全膨張が考えられます。
問題2:管理方法(難易度:★★☆)
【問題】胸腔ドレーン挿入中の患者の移送時、看護師の対応で適切なのはどれか。
- 移送前にドレーンをクランプする
- 排液ボトルを患者の胸より高く持つ
- 排液ボトルを患者の胸より低く保つ
- 移送中は吸引を一時的に止める
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【正解】3. 排液ボトルを患者の胸より低く保つ
【解説】
排液ボトルは常に胸腔より低い位置に保つ必要があります。胸より高くすると、排液が逆流する危険があります。
NG行為:
- 選択肢1:ドレーンのクランプは緊張性気胸のリスクがあり、絶対にしてはいけません
- 選択肢2:排液が逆流してしまいます
- 選択肢4:吸引は継続します
問題3:吸引圧の設定(難易度:★★☆)
【問題】開胸術後の患者に胸腔ドレーンが挿入されている。水封にして管理する場合、適切な吸引圧はどれか。
- マイナス5cmH2O
- マイナス10〜15cmH2O
- マイナス20cmH2O
- マイナス25cmH2O
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【正解】2. マイナス10〜15cmH2O
【解説】
胸腔ドレーンの吸引圧は、通常マイナス10〜15cmH2Oに設定します。これ以上強い吸引圧(マイナス20cmH2O以上)は、組織損傷のリスクがあります。
国試でマイナス20cmH2Oやマイナス25cmH2Oという選択肢が出てきたら、「強すぎる」と判断して×にしましょう!
問題4:水封の管理(難易度:★★☆)
【問題】(改変問題)胸水貯留のため胸腔ドレーンが挿入されている。ドレナージ中の管理で適切なのはどれか。
- ドレナージ中は輸液を行わない
- 胸腔ドレーンは水封にして管理する
- 呼吸困難が消失するまでドレナージをする
- ドレーンバッグを胸腔よりも高い位置に設置する
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【正解】2. 胸腔ドレーンは水封にして管理する
【解説】
胸腔ドレーンは必ず水封にして管理します。水封がなければ外気が胸腔内に入ってしまい、ドレーンの意味がなくなります。
各選択肢の解説:
- 選択肢1:ドレナージ中でも輸液は通常通り行います
- 選択肢3:呼吸困難の有無だけでなく、X線検査などで判断します
- 選択肢4:ドレーンバッグは必ず胸腔より低い位置に設置します
問題5:事例問題 – 無気肺への対応(難易度:★★★)
【問題】Aさん(52歳、男性)は食道がんで右開胸開腹食道全摘術を受けた。術後2日目に気管チューブを抜管し、順調に経過していたが、術後3日目に左下肺野が無気肺となった。Aさんは痰を喀出するときに痛そうな表情をしていた。Aさんは「痛み止めはなるべく使いたくない。我慢できるから大丈夫」と話した。
無気肺を改善するために適切なのはどれか。2つ選べ。
- 腹式呼吸を勧める
- 胸式呼吸を勧める
- 左側臥位を勧める
- 鎮痛薬の使用を勧める
- 胸腔ドレーンをクランプする
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【正解】1と4
【解説】
この問題のポイントは、無気肺の原因が「痛みによる排痰困難」であることを見抜くことです。
選択肢1:腹式呼吸を勧める – 正解
術後で胸部が痛いため、胸式呼吸よりも腹式呼吸の方が痛みが少なく、深呼吸しやすくなります。
選択肢4:鎮痛薬の使用を勧める – 正解
痛みで痰を出せないことが無気肺の原因です。「我慢できる」と言っていても、適切な鎮痛は必要です。痛みを取ることで、咳嗽や深呼吸ができるようになり、無気肺が改善します。
その他の選択肢:
- 選択肢2:胸式呼吸は術後の痛みで困難です
- 選択肢3:左下肺野が無気肺なので、健側(右側)を下にする体位ドレナージが有効です
- 選択肢5:胸腔ドレーンのクランプは絶対にしてはいけません

問題6:COPD患者のエアリーク(難易度:★★★)
【問題】COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者に気胸が発生し、胸腔ドレーンが挿入された。エアリークが持続している。この患者でエアリークが止まりにくい理由として正しいのはどれか。
- 肺の弾性が保たれているため
- 肺の弾性が低下しているため
- 胸腔内圧が上昇しているため
- 気管支が拡張しているため
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【正解】2. 肺の弾性が低下しているため
【解説】
COPD患者は肺気腫により肺の弾性が失われています。健康な肺が新しいゴム風船だとすると、COPD患者の肺は伸び切ったゴム風船のような状態です。
そのため:
- 肺が外側に広がりにくい
- 胸膜にピタッと密着しにくい
- フィブリン(体のノリ)で蓋をしにくい
- →結果としてエアリークが止まりにくい
この知識は臨床でもとても重要です!

国試で狙われるポイント総まとめ
- 水封は必ず滅菌蒸留水を使用
- 呼吸性変動がある=ドレーン開通
- 吸引圧はマイナス10〜15cmH2O
- ドレーンバッグは胸より低い位置
- クランプは絶対NG
- 挿入部位:空気は上方、液体は下方
- COPD患者はエアリークが止まりにくい
- 無気肺予防には適切な鎮痛が重要
【看護学生必見】内視鏡検査と穿刺検査を完全マスター!前処置・合併症・国試対策を徹底解説


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