【看護学生必見】実習・国試で絶対覚えるべき薬剤完全ガイド – パート2:内分泌・代謝系薬剤
看護学生の皆さん、実習で糖尿病患者さんのインスリン注射を見て「種類がたくさんあってわからない…」「低血糖になったらどうしよう…」と不安になった経験はありませんか?また、国家試験でインスリンの問題が出ると「超速効型?中間型?どっちだっけ?」と混乱することはありませんか?

なぜ内分泌・代謝系薬剤を学ぶことが重要なのか?
内分泌・代謝系薬剤、特に糖尿病治療薬は看護学生が最も優先して学ぶべき薬剤群の一つです。その重要性は以下の理由からです。
1. 糖尿病患者の急激な増加
日本の糖尿病患者数は年々増加し、現在約1,000万人(成人の約7人に1人)が糖尿病またはその予備軍です。つまり、どの病棟・どの診療科でも糖尿病患者さんに出会う可能性が非常に高いのです。
📊 実習で遭遇する糖尿病患者の割合
- 内科病棟:患者の約40-50%が糖尿病または耐糖能異常
- 外科病棟:術前・術後の血糖管理が必要な患者が約30%
- 循環器病棟:心疾患の基礎疾患として糖尿病を持つ患者が約35%
- 腎臓内科病棟:糖尿病性腎症患者が約45%
- 眼科病棟:糖尿病性網膜症患者が多数
2. 生命に直結する重要性
インスリンや血糖降下薬は、使用法を誤ると重篤な低血糖を引き起こし、意識障害や生命危険につながる可能性があります。逆に適切な使用により、患者さんの生活の質を大幅に改善できる薬剤でもあります。
血糖値異常による緊急事態
- 重症低血糖(血糖値50mg/dL以下):意識障害・けいれん・昏睡
- 高血糖緊急症(血糖値400mg/dL以上):糖尿病性ケトアシドーシス・脱水
- インスリンの過量投与:急激な低血糖による心停止リスク
- インスリンの投与忘れ:急激な高血糖・合併症進行
3. 国家試験で必出の分野
看護師国家試験における内分泌・代謝系薬剤の出題は、毎年必ず複数問出題される重要分野です。特にインスリン製剤に関する問題は、ほぼ100%の確率で出題されます。
国家試験での内分泌・代謝系薬剤出題データ | ||
---|---|---|
出題内容 | 出題頻度 | 重要度 |
インスリン製剤の分類・作用時間 | 95%以上 | ★★★ |
低血糖の症状・対応 | 85%以上 | ★★★ |
経口血糖降下薬の作用機序 | 70%以上 | ★★☆ |
糖尿病患者の生活指導 | 60%以上 | ★★☆ |


4. 実習での応用範囲が広い
内分泌・代謝系薬剤の知識は、単純な薬剤投与だけでなく、患者指導、食事管理、合併症予防、緊急時対応など、看護実践の多方面で活用されます。
🏥 実習で活用する場面
インスリンの保存方法・投与タイミング・投与部位のローテーション
自己血糖測定・インスリン自己注射・低血糖時の対応指導
カーボカウント・食事時間・間食のタイミング調整
低血糖・高血糖時の迅速な判断・対応・医師報告
5. 他の疾患・薬剤との関連性
糖尿病は様々な合併症を引き起こし、他の薬剤治療にも影響します。この知識があることで、実習での病態理解が格段に深まります。
糖尿病と他疾患・薬剤との関連 | ||
---|---|---|
関連疾患 | 使用薬剤 | 看護での注意点 |
心疾患 | インスリン + 循環器薬 | 低血糖が不整脈を誘発する可能性 |
腎疾患 | インスリン + 利尿薬 | 腎機能低下でインスリン蓄積のリスク |
感染症 | インスリン + 抗生物質 | ストレス反応で血糖値が上昇しやすい |
手術 | インスリン + 麻酔薬 | 術前・術中・術後の血糖管理が必須 |

内分泌・代謝系薬剤学習のロードマップ
- インスリン製剤の分類:超速効型・速効型・中間型・持効型の特徴
- インスリンの投与方法:注射部位・タイミング・保存方法
- 経口血糖降下薬:メトホルミン・SU薬・DPP-4阻害薬の特徴
- 低血糖・高血糖の対応:症状認識・緊急対応・予防策
- 甲状腺薬剤:レボチロキシンの基本知識
- 実習での応用:患者指導・観察ポイント・記録方法
次のパートでは、最も重要な「インスリン製剤の分類と特徴」について詳しく学習していきます。実習で自信を持ってインスリン注射に関われるよう、基礎からしっかりマスターしましょう!
インスリン製剤の分類と特徴
インスリン製剤は、作用発現時間と持続時間によって大きく4つに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、実習で患者さんがなぜそのタイミングでインスリン注射をしているのかが理解できるようになります。
インスリン製剤の4大分類
インスリン製剤の分類と特徴 | |||||
---|---|---|---|---|---|
分類 | 発現時間 | 最大効果 | 持続時間 | 代表薬剤 | 投与タイミング |
超速効型 | 10-20分 | 1-3時間 | 3-5時間 | ヒューマログ ノボラピッド |
食直前 (15分以内) |
速効型 | 30-60分 | 1-3時間 | 5-8時間 | ヒューマリンR ノボリンR |
食前30分 |
中間型 | 1-3時間 | 6-12時間 | 18-24時間 | ヒューマリンN ノボリンN |
朝・夜 1日1-2回 |
持効型 | 1-2時間 | なし (平坦) |
約24時間 | ランタス レベミル |
1日1回 一定時刻 |

① 超速効型インスリン(最重要!)
⚡ 超速効型インスリンの特徴
代表薬剤 | ヒューマログ(リスプロ)・ノボラピッド(アスパルト) |
効果発現 | 10-20分(従来の速効型より速い) |
投与タイミング | 食直前(15分以内)または食後でも可 |
主な使用場面 | 食事による血糖上昇の抑制・食事量が不規則な患者 |
メリット | 生理的インスリン分泌に近い・食事時間の調整がしやすい |
注意点 | 食事を摂らないと低血糖のリスク・食後投与も可能 |
実習でよくある超速効型インスリンの使用場面
🏥 実習現場でのケース
看護師:「食事を見てから、摂取量に合わせてインスリン量を調整します」
特徴:食後投与も可能なため、実際の摂取量を確認してから注射できる
患者さん:「会議で食事時間がずれることが多いんです」
特徴:食直前投与のため、食事時間の変動に対応しやすい
医師:「術後の食事開始に合わせて、超速効型で調整しよう」
特徴:食事再開のタイミングが予測しにくい状況に適している
② 速効型インスリン
⏰ 速効型インスリンの特徴
代表薬剤 | ヒューマリンR・ノボリンR(レギュラーインスリン) |
効果発現 | 30-60分 |
投与タイミング | 食前30分(厳守) |
使用場面 | 規則的な食事パターンの患者・持続静注(緊急時) |
特徴 | 従来からの標準的なインスリン・価格が安価 |


③ 中間型インスリン
中間型インスリンの特徴 | |
---|---|
代表薬剤 | ヒューマリンN・ノボリンN(NPHインスリン) |
作用時間 | 約18-24時間(中程度の持続性) |
投与タイミング | 朝1回または朝・夕2回 |
主な目的 | 基礎インスリン分泌の補充・夜間血糖の管理 |
注意点 | 夜間低血糖のリスク・使用前によく混合する必要 |
④ 持効型インスリン(基礎インスリン)
🔄 持効型インスリンの特徴
代表薬剤 | ランタス(グラルギン)・レベミル(デテミル) |
作用時間 | 約24時間(ピークなし・平坦な効果) |
投与タイミング | 1日1回・毎日同じ時刻(朝または就寝前) |
目的 | 基礎インスリン分泌の完全な代替 |
メリット | 夜間低血糖が少ない・食事時間に関係なく投与可能 |
使用場面 | 基礎インスリン治療・強化インスリン療法の基礎分 |
実習で重要!インスリン療法のパターン
実習で見るインスリン療法パターン | |||
---|---|---|---|
療法名 | 使用インスリン | 投与パターン | 実習頻度 |
強化インスリン療法 | 持効型(基礎) + 超速効型(食前) |
1日4回注射 (基礎1回+食前3回) |
★★★ |
中間型2回法 | 中間型のみ または中間型+速効型 |
朝・夕の2回注射 | ★★☆ |
BOT療法 | 経口薬 + 持効型インスリン |
1日1回注射 + 経口薬継続 |
★★☆ |
インスリン製剤 暗記の必勝法
- 超速効型:「超スピードで効いて、食直前でOK」
- 速効型:「速いけど食前30分は必要」
- 中間型:「中間なので朝・夕2回」
- 持効型:「持続24時間、毎日同じ時刻」
- 作用時間:「超速→速効→中間→持効の順に長くなる」

次のパートでは、これらのインスリン製剤の具体的な投与方法と注意点について学習します。注射部位の選択、保存方法、投与手技など、実習で実際に必要な知識を身につけましょう!
6. インスリンの投与方法と注射部位
インスリン注射は、投与部位や手技を間違えると効果に大きな差が出る薬剤です。実習では患者さんへの投与介助や指導の場面で、正しい知識が求められます。安全で効果的な投与のためのポイントを学んでいきましょう。

インスリン注射部位と吸収速度の比較
インスリン注射部位の特徴 | ||||
---|---|---|---|---|
注射部位 | 吸収速度 | 使いやすさ | 適した場面 | 注意点 |
腹部 (へそ周り) |
最も速い | ★★★ | 超速効型・速効型 食前投与 |
へそ周り5cm以内は避ける 皮下脂肪の厚さを確認 |
大腿部 (前面・外側) |
やや遅い | ★★★ | 持効型インスリン 基礎インスリン |
内側・膝近くは避ける 座位でも注射しやすい |
上腕部 (外側・後面) |
中程度 | ★★☆ | 介護者による注射 医療者による投与 |
自己注射が困難 皮下を確実につまむ |
臀部 (上外側) |
最も遅い | ★☆☆ | 長時間作用を期待 医療者による投与 |
坐骨神経を避ける 現在はあまり使用されない |
部位ローテーションの重要性
⚠️ リポディストロフィー(皮下脂肪の変化)の予防
同じ部位に繰り返し注射することで起こる皮下脂肪の硬化・萎縮・肥厚のこと
症状 | 影響 | 予防策 |
---|---|---|
リポハイパートロフィー (脂肪肥厚) |
硬いしこり・吸収不良 血糖コントロール悪化 |
部位の計画的ローテーション 同一部位2-3cm以上離す |
リポアトロフィー (脂肪萎縮) |
皮膚のくぼみ・痛み 美容的な問題 |
適切な針の長さ選択 注射技術の向上 |


インスリン注射の正しい手技
💉 安全な注射手技の手順
- 正しい患者(Right Patient):患者確認
- 正しい薬剤(Right Drug):インスリンの種類・有効期限確認
- 正しい用量(Right Dose):単位数のダブルチェック
- 正しい時間(Right Time):投与タイミングの確認
- 正しい経路(Right Route):皮下注射の確認
- 手洗い・手指消毒:感染予防の基本
- 針の装着:新しい針を毎回使用
- 空打ち(プライミング):針先に薬液を満たす(2単位)
- 注射部位の清拭:アルコール消毒後乾燥待ち
- 皮下のつまみ上げ:親指と人差指で2-3cm
- 針の挿入:90度・迅速に・根元まで
- 薬液の注入:ゆっくりと・確実に
- 10秒待機:薬液の逆流防止
- 針の抜去:まっすぐ・迅速に
- 10秒待機:注射後すぐに針を抜くと薬液が逆流する
- 新しい針を毎回使用:感染予防と針先の鋭さ維持
- 空打ち2単位:針先に薬液を満たして正確な投与量を確保
- 皮下注射の確認:筋肉注射にならないよう皮下をつまんで実施
- 部位ローテーション:同じ場所ばかりに注射しない
次は、インスリンの保存方法と取り扱いについて学習します。正しい保存ができていないと、インスリンの効果が低下してしまう可能性があります!
経口血糖降下薬
経口血糖降下薬は、2型糖尿病の患者さんに最初に処方されることが多い薬剤群です。インスリンと比べて使いやすく、患者さんのQOL向上に大きく貢献します。実習では多くの患者さんが服用している薬剤なので、しっかりと理解しておきましょう。
経口血糖降下薬の分類と特徴
経口血糖降下薬の分類と特徴 | |||||
---|---|---|---|---|---|
分類 | 代表薬 | 作用機序 | 低血糖リスク | 体重への影響 | 実習頻度 |
メトホルミン (ビグアナイド系) |
メトグルコ グリコラン |
肝糖産生抑制 インスリン感受性改善 |
低い | 減少傾向 | ★★★ |
SU薬 (スルホニル尿素薬) |
アマリール グリミクロン |
膵β細胞刺激 インスリン分泌促進 |
中程度 | 増加傾向 | ★★☆ |
DPP-4阻害薬 | ジャヌビア ネシーナ |
インクレチン分解阻害 血糖依存性分泌調節 |
低い | 変化なし | ★★★ |
α-GI (αグルコシダーゼ阻害薬) |
グルコバイ ベイスン |
糖の吸収を遅延 食後血糖上昇抑制 |
低い | 変化なし | ★☆☆ |
SGLT2阻害薬 | フォシーガ カナグル |
腎で糖再吸収阻害 糖を尿中に排泄 |
低い | 減少 | ★★☆ |

① メトホルミン(最重要薬剤)
🥇 メトホルミンの基本情報
分類 | ビグアナイド系血糖降下薬 |
代表薬剤 | メトグルコ・グリコラン |
作用機序 | ①肝での糖新生抑制 ②筋肉での糖取り込み促進 ③インスリン感受性改善 |
投与タイミング | 食後(胃腸症状の軽減) |
メリット | ・低血糖リスクが低い ・体重減少効果 ・心血管イベント抑制 |
使用制限 | 腎機能低下時は禁忌(eGFR 30mL/min/1.73m²未満) |
メトホルミンの重要な副作用と対策
メトホルミンの副作用と看護ポイント | |||
---|---|---|---|
副作用 | 頻度・症状 | 看護ポイント | 対策 |
消化管症状 | 20-30% 下痢・悪心・腹部膨満感 |
食事摂取量・排便状況の観察 | 食後投与・少量から開始 |
乳酸アシドーシス | 稀だが致命的 呼吸困難・倦怠感 |
腎機能・肝機能の監視 全身状態の変化 |
腎機能低下時は中止 緊急時は投与停止 |
ビタミンB12欠乏 | 長期使用で発症 貧血・神経症状 |
血液検査値の確認 神経症状の観察 |
定期的な検査 必要時B12補充 |
メトホルミン中止が必要な状況
- 腎機能低下:eGFR 30mL/min/1.73m²未満
- 造影剤検査:造影剤使用前後48時間
- 手術・全身麻酔:代謝性アシドーシスのリスク
- 重篤な感染症:脱水・腎機能低下のリスク
- 肝機能障害:乳酸代謝能の低下
② SU薬(スルホニル尿素薬)
⚠️ SU薬の基本情報
代表薬剤 | アマリール(グリメピリド)・グリミクロン(グリクラジド) |
作用機序 | 膵β細胞のSU受容体に結合→インスリン分泌促進 |
投与タイミング | 食前30分(インスリン分泌を食事に合わせる) |
注意点 | 低血糖リスクが高い・食事を摂らないと危険 |
禁忌 | 1型糖尿病・重篤な肝・腎機能障害 |


③ DPP-4阻害薬(最新の主力薬剤)
DPP-4阻害薬の特徴 | |
---|---|
代表薬剤 | ジャヌビア(シタグリプチン)・ネシーナ(アログリプチン) |
作用機序 | DPP-4酵素阻害→インクレチンホルモン(GLP-1)の分解阻害 |
効果 | 血糖値依存性のインスリン分泌促進・グルカゴン分泌抑制 |
メリット | ・低血糖リスクが低い ・体重への影響少ない ・1日1回投与 |
副作用 | 便秘・頭痛(軽微)・稀に膵炎 |
使用上の注意 | 腎機能に応じて用量調整が必要 |
実習で重要!経口血糖降下薬の組み合わせ療法
💊 実習でよく見る組み合わせパターン
組み合わせ | 理由・メリット | 注意点 |
---|---|---|
メトホルミン + DPP-4阻害薬 |
作用機序が異なり相乗効果 低血糖リスクが低い |
腎機能による用量調整 消化管症状の観察 |
メトホルミン + SU薬 |
強力な血糖降下効果 コストパフォーマンス良好 |
低血糖リスクあり 食事摂取量の確認必要 |
メトホルミン + SGLT2阻害薬 |
体重減少効果 心血管保護作用 |
脱水・感染症のリスク ケトアシドーシスに注意 |
実習での観察ポイント
経口血糖降下薬使用患者の観察チェックリスト
- 血糖値の推移:食前・食後・HbA1c値の変化
- 食事摂取状況:量・タイミング・内容の確認
- 低血糖症状:冷汗・手指振戦・意識レベルの変化
- 副作用の観察:消化管症状・体重変化・皮膚症状
- 服薬アドヒアランス:飲み忘れ・自己判断での中止
- 腎機能・肝機能:定期検査値の確認
- 併用薬との相互作用:他の薬剤による影響

次のパートでは、実習で最も重要な「低血糖・高血糖の対応」について学習します。血糖値の異常は生命に関わる緊急事態になることもあるため、症状の早期発見と適切な対応方法をしっかりマスターしましょう!
7. 低血糖の「15分ルール」詳細解説
低血糖は糖尿病治療において最も緊急性が高い合併症の一つです。「15分ルール」は低血糖の標準的な対応方法であり、実習では必ず覚えておかなければなりません。適切な対応ができるかどうかで、患者さんの生命に関わる重要な知識です。

低血糖の定義と重症度分類
低血糖の重症度と症状 | ||||
---|---|---|---|---|
重症度 | 血糖値 | 主な症状 | 対応方法 | 緊急度 |
軽度 | 50-70mg/dL | 冷汗・手指振戦 動悸・空腹感 |
ブドウ糖15g経口投与 15分ルール適用 |
中 |
中等度 | 40-50mg/dL | 意識混濁・錯乱 異常行動・攻撃性 |
50%ブドウ糖液20mL静注 またはグルカゴン筋注 |
高 |
重度 | <40mg/dL | 昏睡・痙攣 意識消失 |
50%ブドウ糖液40mL静注 緊急処置・ICU管理 |
最高 |
15分ルールの具体的手順
🕐 15分ルールの標準プロトコル
STEP 1:初回対応(意識清明の場合)
- 血糖測定:70mg/dL未満を確認
- ブドウ糖15g経口投与:ブドウ糖タブレット3錠または砂糖大さじ1杯
- 安静:座位または臥位で安静にする
- 症状観察:冷汗・振戦・意識レベルの変化を観察
STEP 2:15分後の再評価
- 血糖再測定:15分後に必ず測定
- 症状の確認:改善の有無を評価
- 継続判断:70mg/dL以上かつ症状改善なら終了
- 追加治療:70mg/dL未満なら再度ブドウ糖15g投与
STEP 3:反復と医師報告
- 最大3回まで反復:計45gのブドウ糖投与まで
- 改善なければ医師コール:静注療法の検討
- 原因検索:食事摂取不良・薬剤過量・運動など
- 予防策の検討:再発防止のための対策


意識混濁時の対応(グルカゴン・静注療法)
意識混濁時の治療選択 | |||
---|---|---|---|
治療法 | 用法・用量 | 使用場面 | 注意点 |
50%ブドウ糖液 | 20-40mL静脈内投与 | 静脈路確保可能 病院内での対応 |
血管外漏出に注意 急速投与は危険 |
グルカゴン | 1mg筋肉内注射 | 静脈路確保困難 在宅・救急現場 |
効果発現まで10-15分 嘔吐の副作用あり |
10%ブドウ糖液 | 100-200mL点滴静注 | 維持療法 軽度〜中等度 |
効果発現がやや遅い 大量投与が必要 |
低血糖対応で絶対にやってはいけないこと
- 意識混濁時の経口投与:誤嚥のリスクが非常に高い
- 砂糖水や飴での代用:吸収が遅く効果不十分
- インスリン追加投与:さらに低血糖を悪化させる
- 食事での対応のみ:吸収に時間がかかりすぎる
- 15分待たずに追加投与:過剰投与による反跳性高血糖
高血糖の症状と緊急対応
高血糖は低血糖ほど急激ではありませんが、放置すると生命に関わる合併症を引き起こします。特に糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は重篤な状態です。
高血糖の重症度と対応 | |||
---|---|---|---|
血糖値 | 主な症状 | 対応方法 | 緊急度 |
180-250mg/dL | 口渇・多飲・多尿 軽度の倦怠感 |
薬物治療調整・生活指導 水分摂取・経過観察 |
低 |
250-400mg/dL | 強い口渇・嘔気 腹痛・呼吸促迫 |
インスリン治療開始 入院検討・頻回観察 |
中 |
400mg/dL以上 | 意識障害・Kussmaul呼吸 アセトン臭・脱水 |
DKA疑い→緊急入院 集中治療・医師即座コール |
最高 |
🚨 DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)の症状
- Kussmaul呼吸:深くて速い規則的な呼吸(アシドーシスの代償)
- アセトン臭:果物のような甘酸っぱい口臭
- 腹痛・嘔気:急性腹症に似た症状
- 脱水症状:皮膚弾性低下・口渇・尿量減少
- 意識レベル低下:軽度混濁から昏睡まで

高血糖緊急対応の基本原則
- 血糖値300mg/dL以上:医師への報告必須
- Kussmaul呼吸・アセトン臭:DKA疑い→即座に医師コール
- 意識レベル低下:緊急事態として対応
- 脱水の評価:皮膚弾性・尿量・血圧の確認
- 原因の検索:感染症・ストレス・薬剤中断の確認
これで内分泌・代謝系薬剤の重要ポイントが完成です。低血糖と高血糖、両方の対応をマスターして実習に臨みましょう!
8. 実習での緊急場面3つの対応方法
実習では薬剤に関連した緊急事態に遭遇することがあります。特に内分泌・代謝系薬剤では、迅速な対応が患者さんの生命を左右する場面も少なくありません。実際に起こりやすい3つの緊急場面と、その対応方法をマスターしましょう。

【緊急場面1】巡回中に低血糖症状の患者さんを発見
🚨 場面設定
状況:実習2週目、病棟巡回中に糖尿病患者のAさん(68歳)が「なんか手が震える…頭がぼーっとする」と訴えている。時刻は昼食前11:30、朝食前にインスリン注射を実施済み。
✅ 正しい初期対応(30秒以内)
- 安全確保:患者さんを座らせる・転倒防止
- 意識レベル確認:「お名前を教えてください」
- 指導者へ報告:「○○さんが低血糖症状です!」
- 血糖測定準備:血糖測定器を持参
🩺 継続対応(5分以内)
- 血糖測定:測定値48mg/dL → 低血糖確定
- ブドウ糖15g投与:ブドウ糖タブレット3錠
- バイタル測定:血圧・脈拍・意識レベル
- 安静維持:15分間の経過観察
- 医師報告:指導者を通じて医師にコール
📋 記録・報告のポイント
- 発見時刻・症状の詳細・血糖値・投与内容
- 患者さんの反応・改善の経過
- 原因の推測(食事摂取不良・運動・薬剤など)
【緊急場面2】インスリン投与量間違いの発覚
⚠️ 場面設定
状況:朝食前インスリン投与後、指導者との振り返りで「本来6単位のところを16単位投与してしまった」ことが判明。患者さんはまだ症状なし。投与から30分経過。
🚨 緊急対応(即座に実施)
- 医師への緊急報告:インシデント発生を即座に報告
- 血糖測定開始:30分おきに血糖値測定
- 低血糖準備:ブドウ糖・50%ブドウ糖液を準備
- 患者説明:状況を正直に説明・謝罪
- 家族連絡:医師判断で家族に状況説明
🍯 予防的対策
- 頻回血糖測定:1時間おき→2時間おき→4時間おき
- 補食の準備:通常より多めの糖分摂取
- 活動制限:安静度の見直し
- 継続観察:24時間の厳重な観察体制
📝 インシデント報告
- 発生状況の詳細記録
- 原因分析(なぜ間違えたか)
- 患者への影響評価
- 再発防止策の検討


【緊急場面3】高血糖・DKA症状の発見
🫁 場面設定
状況:1型糖尿病の患者さんBさん(22歳)が「気分が悪い、お腹が痛い」と訴え。呼吸が深くて速く、口臭が甘酸っぱい匂い。前日から食事摂取不良で発熱もあり。
🚨 DKAを疑う症状チェック
- Kussmaul呼吸:深くて速い規則的な呼吸
- アセトン臭:果物のような甘酸っぱい口臭
- 腹痛・嘔気:急性腹症に似た症状
- 脱水症状:皮膚弾性低下・口渇
- 意識レベル低下:軽度混濁から昏睡まで
🏥 緊急対応の手順
- 即座に医師コール:「DKAを疑います」と明確に報告
- 血糖測定:簡易血糖測定器で確認
- バイタルサイン測定:血圧・脈拍・呼吸・体温
- 静脈路確保準備:太めの点滴ラインが必要
- 尿ケトン測定:ケトン体の確認
- 検査準備:血液ガス分析・電解質検査
👀 継続観察ポイント
- 意識レベル:JCS・GCSでの評価
- 呼吸パターン:Kussmaul呼吸の変化
- 循環動態:血圧・脈拍・尿量
- 神経症状:けいれん・局所神経症状
実習での緊急事態対応 3つの原則
- 安全確保が最優先:患者さんの安全→自分の安全→周囲の安全
- 即座の報告・相談:一人で判断せず、必ず指導者・医師に報告
- 冷静な観察・記録:パニックにならず、客観的な情報を収集
絶対に覚えておくべき緊急連絡先
- 指導者への連絡:PHS番号・内線番号を常に携帯
- 医師への緊急コール:病棟の緊急コール番号
- 薬剤部への相談:薬剤に関する疑問・副作用確認
- 看護師長への報告:重大なインシデント発生時

次は、内分泌・代謝系薬剤の総まとめと、公式LINEでの特別サポートについてご紹介します。実習と国家試験対策を完璧にマスターしましょう!
9. 内分泌・代謝系薬剤 総まとめ
ここまで学んできた内分泌・代謝系薬剤の知識を総まとめしましょう。実習と国家試験の両方で確実に点数を取れるよう、最重要ポイントを整理します。

実習・国試で絶対覚えるべき重要ポイント一覧
内分泌・代謝系薬剤 重要度ランキング | |||
---|---|---|---|
重要度 | 項目 | キーポイント | 出題頻度 |
★★★ | 低血糖の15分ルール | ブドウ糖15g→15分待機→70mg/dL未満なら反復 | 毎年必須 |
★★★ | インスリン製剤の分類 | 超速効型(食直前)・持効型(1日1回・ピークなし) | 毎年必須 |
★★☆ | メトホルミンの特徴 | 腎機能低下時禁忌・乳酸アシドーシス・食後投与 | 頻出 |
★★☆ | SU薬の注意点 | 低血糖リスク高・食前30分・食事摂取必須 | 頻出 |
★☆☆ | DPP-4阻害薬 | 低血糖リスク低・1日1回・腎機能で用量調整 | 時々出題 |
実習での評価ポイント
実習で高評価を得るための薬剤知識チェック
- 投与前確認:5R(患者・薬剤・用量・時間・経路)の徹底
- 副作用の予測:「この薬でどんな副作用が起こりますか?」に即答
- 観察ポイントの理解:なぜその観察が必要かを説明できる
- 患者教育の視点:退院後の生活指導を意識した関わり
- 緊急時対応:低血糖などの異常時に適切な初期対応ができる
- 記録の正確性:客観的データに基づいた記録ができる


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