【成人看護実習生必見】慢性期看護で重要なバンデューラの自己効力感理論とセルフケア支援の完全ガイド
成人看護実習を控えた看護学生の皆さん、こんにちは!看護学生アドバイザーのかずです。今回は成人看護実習で必ず出会う「慢性期看護」について、特に重要な理論的背景とセルフケア支援の方法を詳しく解説していきます。慢性期看護は急性期とは全く異なるアプローチが必要で、多くの学生が戸惑う分野でもありますが、しっかりとした理論的基盤を理解すれば、患者さんにとって本当に意味のある看護ができるようになります。

慢性期看護の特徴と実習での課題
成人看護実習で慢性期病棟に配属されると、多くの学生が「急性期とは全然違う」と感じるのではないでしょうか。それには明確な理由があります。慢性期看護の最大の特徴は、治癒を目指すのではなく、病気と共に生きていくことを支援するという点にあります。

この学生さんの悩みは、実は多くの看護学生が抱える共通の課題です。慢性期看護では以下の点が重要になります:
- 寛解を目指す看護:完全治癒ではなく、症状の安定化を図る
- 教育的看護の重視:患者の自立性を高める教育・指導が中心
- 長期的な視点:入院中だけでなく、退院後の生活を見据えた支援
慢性期患者が直面する課題
慢性期の患者さんは、病気と診断されてから長い時間が経過していますが、それゆえに特有の心理的・社会的課題を抱えています。
慢性期患者の主な課題 | |
---|---|
課題の種類 | 具体的な内容 |
心理的課題 | • 病気に対する受容の困難 • 将来への不安や絶望感 • 自己効力感の低下 • うつ状態や無力感 |
身体的課題 | • 症状の継続や悪化 • 体力・機能の段階的低下 • 薬物療法の副作用 • 日常生活動作の制限 |
社会的課題 | • 就労の継続困難 • 家族関係の変化 • 経済的負担の増大 • 社会参加の機会減少 |
セルフケア課題 | • 治療の継続困難 • 生活習慣の改善困難 • 症状管理のスキル不足 • 医療機関との連携不足 |

バンデューラの自己効力感理論とは?
慢性期看護を理解する上で欠かせないのが、アルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感理論」です。自己効力感(Self-efficacy)とは、「ある課題や困難な状況に対して、自分が適切に行動し、望ましい結果を得ることができるという個人の信念」のことを指します。
自己効力感の4つの構成要素
バンデューラは、自己効力感を高めるために4つの重要な情報源があると説明しています。慢性期看護では、これらの要素を意識的に活用することで、患者さんの自己管理能力を向上させることができます。
バンデューラの自己効力感4つの情報源
遂行行動の達成(Performance Accomplishments)
最も重要な情報源。実際に課題を成功させた体験が自己効力感を最も強く高める
例:血糖値測定を自分で正確にできた、食事療法を1週間継続できた
代理的体験(Vicarious Experience)
他者の成功体験を観察することで、「自分にもできる」という信念を獲得する
例:同じ病気の患者さんが上手に自己管理している姿を見る
言語的説得(Verbal Persuasion)
周囲からの励ましや「あなたならできる」という言葉による支援
例:看護師からの「前回より上手になっていますね」という声かけ
情動的喚起(Emotional Arousal)
生理的・感情的状態が自己効力感に与える影響。リラックス状態の方が効力感が高まる
例:不安が軽減された状態で新しい技術を学習する

自己効力感が高い人・低い人の特徴
自己効力感の高低によって、患者さんの行動や治療への取り組み方が大きく変わります。看護師として、患者さんがどちらの傾向にあるかを見極めることが重要です。
自己効力感の高低による行動の違い | ||
---|---|---|
観点 | 自己効力感が高い人 | 自己効力感が低い人 |
課題への取り組み | • 困難な課題にも積極的に挑戦 • 失敗を学習の機会と捉える • 長期的な目標を設定する |
• 困難を避ける傾向 • 失敗を能力不足と感じる • 短期的な目標のみ設定 |
ストレス反応 | • ストレスを成長の機会と捉える • 問題解決に焦点を当てる • レジリエンスが高い |
• ストレスで不安になりやすい • 感情に焦点を当てがち • 諦めやすい傾向 |
治療への姿勢 | • 自己管理に積極的 • 治療方針の決定に参画 • 継続的な努力を行う |
• 受け身的な姿勢 • 他者依存になりがち • 治療の中断リスクが高い |
- 新しい治療や指導に対する反応
- 過去の成功体験について語る際の表情や言葉
- 困難に直面した時の対処行動
- 将来の目標設定に対する態度
慢性期看護における自己効力感理論の実践的応用
バンデューラの自己効力感理論を理解したところで、実際の慢性期看護でどのように活用するかを具体的に見ていきましょう。理論を知っているだけでは意味がありません。患者さんの自己効力感を高めるための具体的な看護介入を学ぶことが重要です。
4つの情報源を活用した看護介入
自己効力感の4つの情報源それぞれに対応した、具体的な看護介入方法をご紹介します。これらの方法は実習でもすぐに活用できる実践的なアプローチです。
1. 遂行行動の達成を支援する看護介入
段階的目標設定法
- 大きな目標を小さなステップに分割する
- 患者さんが「できた」という実感を得やすい課題から始める
- 成功体験を積み重ねて、徐々に難易度を上げる
具体例:糖尿病患者の血糖自己測定指導
- まず看護師と一緒に1回測定する(安心感の提供)
- 患者さん主体で看護師が見守る中で測定する
- 一人で測定し、結果を看護師に報告する
- 複数回の測定を継続し、記録をつける
2. 代理的体験を活用した看護介入
モデリング法
- 同じ疾患の患者さん同士の交流機会を設ける
- 成功事例を具体的に紹介する
- 患者会や支援グループへの参加を促す
具体例:COPD患者の呼吸リハビリテーション
- 同じ病気で呼吸法を上手に行っている患者さんのデモンストレーションを見てもらう
- 「○○さんも最初は苦手でしたが、今では毎日続けられています」という具体的な体験談を共有

実習でよく出会う慢性疾患別の自己効力感向上アプローチ
実習では様々な慢性疾患の患者さんと出会います。疾患ごとに効果的なアプローチ方法が異なるため、代表的な疾患について具体的な方法をご紹介します。
疾患別自己効力感向上アプローチ | ||
---|---|---|
疾患 | 重点的な自己管理項目 | 効力感向上のポイント |
糖尿病 | • 血糖自己測定 • 食事療法 • 運動療法 • 薬物管理 |
• 血糖値の改善を数値で可視化 • 食事記録による達成感の実感 • 段階的な運動量増加 |
高血圧 | • 血圧測定 • 塩分制限 • 体重管理 • ストレス管理 |
• 家庭血圧の記録と変化の確認 • 減塩レシピの成功体験 • リラクゼーション法の習得 |
COPD | • 呼吸法 • 酸素療法 • 薬物吸入 • 感染予防 |
• 正しい吸入手技の習得 • 呼吸困難感の軽減実感 • 日常生活動作の改善 |
Nurse Path+で学ぶ慢性期看護の実践スキル
ここまで理論的な内容をお話ししてきましたが、実際の実習では「理論は分かったけど、実際にどう患者さんと関わればいいの?」という場面に多く遭遇します。そんな時に頼りになるのが、実践的なスキルと豊富な経験に基づく指導です。


【成人看護実習生必見】慢性期看護の実践力を身につけるチャンス!
慢性期看護では、患者さん一人一人に合わせたアプローチが必要です。教科書の知識だけでは対応しきれない場面が多く、多くの看護学生が実習で戸惑います。特にバンデューラの自己効力感理論を実際の看護に活かす方法は、経験豊富な指導者から学ぶことが最も効果的です。
Nurse Path+では、以下のような慢性期看護特化のサポートを提供しています:
- ✅ 24時間365日のLINEサポート:実習中の困ったときにいつでも相談可能
- ✅ 月3回の専門ZOOM勉強会:慢性期看護の理論と実践を徹底解説
- ✅ 個別コンサルティング:あなたの受け持ち患者さんに合わせた看護計画作成支援
- ✅ 実習記録添削サービス:アセスメントの書き方から看護計画まで丁寧に指導
- ✅ 慢性期看護専用の資料集:疾患別の看護のポイントや患者指導資料
- ✅ 先輩看護師との交流機会:現場経験豊富な看護師からのアドバイス
実際にNurse Path+を利用した学生の体験談
「糖尿病患者さんの自己効力感を高める声かけ方法が分からず困っていました。Nurse Path+で相談したところ、患者さんの性格や背景に合わせた具体的なアプローチ方法を教えてもらい、実習で実践できました。患者さんが『できるようになった』と笑顔で話してくれた時は本当に嬉しかったです!」(看護学部3年生 Mさん)
※初回相談は無料!実習前の不安解消から実習中のサポートまで安心です
慢性期看護で重要な患者教育のプロセス
慢性期看護における患者教育は、単に知識を伝えるだけでは効果がありません。患者さんの学習レディネス(学習への準備状態)を評価し、段階的にアプローチすることが重要です。
効果的な患者教育の5段階プロセス
アセスメント段階
患者の知識レベル、学習意欲、身体的・心理的状態を評価
目標設定段階
患者と一緒に達成可能で具体的な学習目標を設定
実施段階
患者の学習スタイルに合わせた教育方法を選択・実施
評価段階
学習効果を確認し、理解度や技術習得度を評価
継続支援段階
退院後も継続できるよう、フォローアップ体制を整備

成人期の発達段階と慢性期看護への影響
慢性期看護を効果的に行うためには、患者さんがどの成人期にあるかを理解することが重要です。エリクソンの発達段階論によると、成人期は前期・中期・後期に分けられ、それぞれ異なる発達課題と心理的特徴を持っています。これらの特徴を理解することで、年齢に応じた適切な看護アプローチを選択できます。
成人期各段階の特徴と看護のポイント
成人期発達段階と慢性期看護のポイント | |||
---|---|---|---|
発達段階 | 年齢 | 発達課題・特徴 | 慢性期看護のポイント |
成人前期 (青年期後期) |
18-40歳 | 発達課題:親密性vs孤立 • キャリア形成 • 恋愛・結婚・出産 • 経済的自立 • 社会的役割の確立 • エネルギッシュで積極的 |
• 将来への影響を重視した指導 • 仕事や家族への影響を考慮 • 積極的な自己管理を支援 • 情報収集への意欲を活用 • ピアサポートの活用 |
成人中期 (壮年期) |
40-65歳 | 発達課題:生殖性vs停滞 • 責任ある社会的役割 • 子育て・介護の責任 • キャリアの充実期 • 身体機能の変化への適応 • 次世代への貢献意識 |
• 多重役割への配慮 • 家族全体を視野に入れた支援 • 効率的な自己管理方法の提案 • ストレス管理の重要性 • 責任感を活かした目標設定 |
成人後期 (老年期前期) |
65歳以上 | 発達課題:統合性vs絶望 • 退職・役割の変化 • 身体機能の低下 • 人生の振り返り • 死への準備 • 知恵と経験の蓄積 |
• 尊厳を保った自己管理支援 • 残存機能を活かしたアプローチ • ゆっくりとした学習ペース • 家族の協力体制構築 • QOL重視の目標設定 |

セルフケア支援の具体的な方法と技術
慢性期看護の核心は、患者さんが退院後も継続的に自己管理できるよう支援することです。オレムのセルフケア理論に基づいて、患者さんの能力に応じた段階的な支援を行います。
オレムのセルフケア理論を活用した看護システム
オレムは、患者のセルフケア能力に応じて3つの看護システムを提案しています。慢性期患者への支援では、段階的にこれらのシステムを移行していくことが重要です。
オレムの3つの看護システム
例:急性期、意識障害時
例:指導を受けながら血糖測定を行う
例:自立して治療を継続し、定期的に相談する
疾患別セルフケア支援の実践例
実習でよく出会う代表的な慢性疾患について、具体的なセルフケア支援の方法をご紹介します。これらの例は実習記録作成時にも参考になります。

糖尿病患者のセルフケア支援プログラム例
📊 血糖自己測定の段階的指導
段階1: 看護師がデモンストレーション → 患者が観察
段階2: 患者が実施 → 看護師が指導・補助
段階3: 患者が独立して実施 → 看護師が確認
段階4: 在宅での継続 → 外来で評価
🍽️ 食事療法の個別化指導
アセスメント: 現在の食習慣、嗜好、家族構成、経済状況
目標設定: 患者と一緒に実現可能な短期・長期目標を設定
実践支援: 食事記録、カーボカウント法の指導
評価・修正: 血糖値の変化を見ながら調整
🏃♂️ 運動療法の安全な導入
運動前評価: 心機能、足の状態、低血糖リスクの確認
段階的開始: ウォーキング5分から開始し、徐々に延長
安全教育: 低血糖症状の認識と対処法
継続支援: 運動記録、家族の協力体制構築

退院後の継続支援システム
慢性期看護では、入院中の指導だけでなく、退院後も継続的に支援できる体制を整えることが重要です。地域包括ケアシステムの中で、多職種が連携して患者さんを支える仕組みを理解しましょう。
退院後支援の連携体制 | ||
---|---|---|
支援者 | 役割 | 具体的な支援内容 |
外来看護師 | 継続的な教育・指導 セルフケア能力の評価 |
• 定期的な面談と評価 • 家族への指導継続 • 問題の早期発見と対応 |
訪問看護師 | 在宅での実践支援 生活環境の調整 |
• 自宅でのケア実践確認 • 環境調整のアドバイス • 緊急時の対応指導 |
薬剤師 | 薬物療法の支援 服薬指導の継続 |
• 服薬方法の確認 • 副作用のモニタリング • お薬手帳の活用指導 |
管理栄養士 | 栄養療法の継続支援 食生活の個別指導 |
• 家庭での食事作り指導 • 外食時の選択方法 • 季節に応じた調理法 |
実習で活用できる慢性期看護のポイント整理
これまでお話ししてきた内容を、実習で実際に活用しやすい形でまとめてみましょう。実習記録作成時や患者さんとの関わりの際に、ぜひ参考にしてください。
- ウェルネス思考の実践:問題点ではなく、患者の強みや正常な部分に着目する
- 自己効力感の評価:患者の「できる」という気持ちのレベルをアセスメントする
- 段階的目標設定:大きな目標を小さなステップに分けて達成感を味わってもらう
- 発達段階の考慮:患者の年齢・人生段階に応じたアプローチを選択する
- 教育的関わり:知識を一方的に教えるのではなく、患者の学習を支援する
- 継続性の重視:退院後の生活を見据えた実現可能な計画を立てる

実習記録に活用できるアセスメント視点
慢性期看護の実習記録では、以下の視点でアセスメントを行うと、理論に基づいた質の高い記録が作成できます。
慢性期看護記録のアセスメント項目
慢性期看護で使える声かけとコミュニケーション例
理論を理解していても、実際の患者さんとのコミュニケーションで困ることは多いものです。バンデューラの自己効力感理論を活用した効果的な声かけの例をご紹介します。
自己効力感を高める声かけ例 | ||
---|---|---|
場面 | 効力感を下げる声かけ(×) | 効力感を高める声かけ(○) |
血糖測定失敗時 | 「まだうまくできませんね」 「もっと練習が必要です」 「間違っています」 |
「針を刺すタイミングは上手でした。次は角度を少し調整してみましょう」 「昨日よりスムーズになっていますね」 |
食事療法継続困難 | 「我慢が足りません」 「もっと意識を高めて」 「このままでは悪化します」 |
「1週間のうち4日間は目標を守れていますね」 「どんな工夫をすれば続けやすくなりそうですか?」 |
新しい技術習得時 | 「難しいでしょうけど頑張って」 「覚えることがたくさんあります」 |
「○○さんなら必ずできるようになります」 「一つずつ確実に覚えていきましょう」 |

まとめ:慢性期看護実習を成功させるための総合的なアプローチ
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。慢性期看護は看護学生にとって難しい分野の一つですが、今回ご紹介したバンデューラの自己効力感理論や成人期の特徴を理解することで、患者さんに寄り添った質の高い看護が提供できるようになります。
- 理論的基盤の理解:バンデューラの自己効力感理論4つの情報源を活用
- 発達段階の考慮:成人前期・中期・後期の特徴に応じたアプローチ
- ウェルネス思考の実践:患者の強みや正常な部分に着目した看護
- 段階的支援の提供:オレムの看護システムを活用した自立支援
- 教育的関わりの重視:患者の学習レディネスに応じた指導方法
- 継続性の確保:退院後の生活を見据えた多職種連携
- 効果的なコミュニケーション:自己効力感を高める声かけの実践


- 受け持ち患者さんの疾患と治療について事前学習を行う
- バンデューラの自己効力感理論4つの情報源を覚える
- 患者さんの年齢に応じた発達課題を確認する
- セルフケア支援のポイントを整理する
- 効果的な声かけ例を参考に、コミュニケーション方法を考える
- 実習記録のアセスメント項目を確認する
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