- 【看護学生必見】実習・国試で絶対覚えるべき薬剤完全ガイド – パート3:中枢神経系・精神科薬剤
【看護学生必見】実習・国試で絶対覚えるべき薬剤完全ガイド – パート3:中枢神経系・精神科薬剤
看護学生の皆さん、実習で「この患者さんが飲んでいる睡眠薬はどんな副作用があるの?」「鎮痛薬の使い分けがよく分からない…」「抗精神病薬って怖そうだけど大丈夫?」と思ったことはありませんか?

なぜ中枢神経系・精神科薬剤が看護学生に重要なのか?
中枢神経系・精神科薬剤が看護学生にとって重要な理由:
- どの病棟でも必ず遭遇 – 内科・外科・精神科を問わず、多くの患者さんが使用
- 重篤な副作用 – 意識レベル低下、呼吸抑制、錐体外路症状など注意が必要
- 安全管理が重要 – 転倒・転落、誤薬、依存性などのリスク管理
- 国試頻出分野 – 成人看護学・老年看護学・精神看護学で必出
- 高齢化社会での需要増 – 認知症・不眠・疼痛管理の重要性が増加


中枢神経系・精神科薬剤の分類と概要
中枢神経系・精神科薬剤の主要分類 | ||||
---|---|---|---|---|
分類 | 代表薬 | 主な作用 | 重要な副作用 | 実習頻度 |
睡眠薬・抗不安薬 | ブロチゾラム ゾルピデム |
GABA受容体作用 鎮静・催眠効果 |
意識レベル低下 転倒・転落 |
★★★ |
非オピオイド系鎮痛薬 | ロキソニン アセトアミノフェン |
解熱・鎮痛・抗炎症 プロスタグランジン阻害 |
胃腸障害・腎障害 肝障害 |
★★★ |
オピオイド系鎮痛薬 | モルヒネ フェンタニル |
オピオイド受容体作用 強力な鎮痛効果 |
呼吸抑制・便秘 依存性 |
★★☆ |
抗精神病薬 | リスペリドン ハロペリドール |
ドパミン受容体遮断 抗精神病作用 |
錐体外路症状 プロラクチン上昇 |
★★☆ |
★★★:実習で非常によく見る ★★☆:実習でときどき見る

実習でよく遭遇する中枢神経系薬剤の場面
実習現場で中枢神経系・精神科薬剤に関わる主な場面:
実習でよく遭遇する場面 | ||
---|---|---|
薬剤分類 | よくある場面 | 学生の役割 |
睡眠薬 | 不眠を訴える高齢患者への投与 術後の睡眠環境調整 |
転倒リスク評価 環境整備 |
鎮痛薬 | 術後疼痛管理 がん患者の疼痛コントロール |
疼痛評価 副作用観察 |
抗精神病薬 | 統合失調症患者の服薬管理 認知症の行動・心理症状 |
錐体外路症状観察 服薬支援 |

この記事で学べること
パート3で完全マスターできる内容
- 睡眠薬・抗不安薬:ブロチゾラム、ゾルピデムの特徴と転倒予防
- 非オピオイド系鎮痛薬:ロキソニン、アセトアミノフェンの使い分け
- オピオイド系鎮痛薬:モルヒネの副作用管理と観察ポイント
- WHO三段階鎮痛ラダー:疼痛管理の基本原則
- 抗精神病薬:リスペリドン、ハロペリドールと錐体外路症状
- 実習での安全管理:転倒予防、誤薬防止、副作用観察
- 国試対策ポイント:頻出問題パターンと覚え方のコツ
次のパートから、具体的な薬剤について詳しく学んでいきましょう!
1. 睡眠薬の基礎知識
睡眠薬は、実習で最もよく遭遇する中枢神経系薬剤の一つです。特に高齢患者さんでは、入院による環境変化で不眠になることが多く、適切な睡眠薬の使用が必要になります。しかし、睡眠薬は転倒・転落のリスクを高めるため、看護師の観察と安全管理が非常に重要です。
① ブロチゾラム(レンドルミン)- ベンゾジアゼピン系
💊 ブロチゾラムの基本情報
商品名 | レンドルミン |
分類 | 短時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬 |
作用機序 | GABA受容体に結合し脳の興奮を抑制 |
適応 | 不眠症・不安障害・手術前の鎮静 |
作用時間 | 半減期:約7時間(短時間作用) |
投与タイミング | 就寝30分前 |

ブロチゾラムの重要な副作用と看護ポイント
ブロチゾラムの副作用と看護対応 | |||
---|---|---|---|
副作用 | 症状・発現時期 | 観察ポイント | 看護対策 |
意識レベル低下 | 投与後30分〜2時間 傾眠・反応鈍化 |
JCS・GCSでの評価 呼びかけへの反応 |
ベッド柵上げ ナースコール設置 |
転倒・転落リスク | 投与後〜翌朝 ふらつき・筋弛緩 |
歩行状態・バランス ADLの変化 |
センサーマット 付き添い検討 |
健忘 | 投与後の記憶なし 前向性健忘 |
翌朝の記憶確認 混乱の有無 |
重要な説明は翌朝に 記録の徹底 |
依存性 | 長期使用で身体依存 離脱症状 |
使用期間・頻度 薬への態度 |
短期間使用原則 漸減で中止 |
② ゾルピデム(マイスリー)- 非ベンゾジアゼピン系
🌙 ゾルピデムの基本情報
商品名 | マイスリー |
分類 | 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Zドラッグ) |
作用機序 | GABA-A受容体のω1サブタイプ選択的作用 |
特徴 | 自然な眠気・依存性が比較的低い |
作用時間 | 半減期:約2時間(超短時間作用) |
適応 | 入眠困難型不眠症 |


ブロチゾラム vs ゾルピデムの比較
睡眠薬の比較表 | ||||
---|---|---|---|---|
項目 | ブロチゾラム(レンドルミン) | ゾルピデム(マイスリー) | 高齢者での使用 | 実習頻度 |
入眠効果 | ★★★ 強い | ★★☆ 中程度 | 要注意 | ★★★ |
翌朝の眠気 | ★★★ あり | ★☆☆ 少ない | ゾルピデム推奨 | ★★☆ |
転倒リスク | ★★★ 高い | ★★☆ 中程度 | どちらも要注意 | ★★★ |
依存性 | ★★★ あり | ★★☆ 比較的少ない | 短期間使用原則 | ★☆☆ |
睡眠薬投与時の絶対注意事項
- 投与後は絶対にベッドから離れない:転倒・転落の最大のリスク時間
- アルコールとの併用は厳禁:相乗効果で重篤な意識レベル低下
- 高齢者は少量から開始:代謝能力低下により効果が強く出る
- 翌朝の状態確認は必須:持ち越し効果の有無を評価
- 運転・機械操作は禁止:翌日も注意力低下の可能性

次のパートでは、睡眠薬・抗不安薬の詳細と実習での具体的な注意点について学びます!
2. 抗不安薬の詳細と実習での注意点
抗不安薬は、不安障害やパニック障害の患者さんだけでなく、入院による環境変化で不安になった患者さんにも使用されます。実習では、様々な病棟で抗不安薬を服用している患者さんに出会う機会があるでしょう。
抗不安薬の主要分類と特徴
抗不安薬の分類と代表薬 | ||||
---|---|---|---|---|
分類 | 代表薬 | 作用時間 | 特徴 | 実習頻度 |
短時間作用型 | ロラゼパム (ワイパックス) |
12-16時間 | 頓服使用・急性不安 肝代謝に依存しない |
★★★ |
中時間作用型 | アルプラゾラム (ソラナックス) |
12-15時間 | パニック障害・全般性不安 抗うつ効果も軽度あり |
★★☆ |
長時間作用型 | ジアゼパム (セルシン) |
20-100時間 | 筋弛緩・抗けいれん 代謝産物も活性あり |
★★☆ |
実習でよく遭遇する場面:不安を訴える患者さんへの対応
🏥 実習生C子さんの体験例
状況:手術前日の患者さんが「明日の手術が不安で眠れません」と訴えている。医師からロラゼパム0.5mg頓服の指示が出ている。
✅ 適切な看護対応
- 不安の内容を具体的に聴取:「どんなことが心配ですか?」
- 非薬物的介入を先に試行:傾聴・リラクゼーション・環境調整
- 薬剤の説明:効果・服用方法・注意点を分かりやすく
- 安全確保:ベッド柵・ナースコール・転倒予防
- 効果と副作用の観察:30分後・1時間後の状態確認
❌ 避けるべき対応
- 「大丈夫ですよ」と軽く受け流す
- 薬の説明なしに投与する
- 投与後の観察を怠る
- 患者さんの訴えを聞かずに薬だけに頼る

高齢者における睡眠薬・抗不安薬の特別な注意点
👴👵 高齢者での使用上の注意
項目 | 高齢者の特徴 | 看護上の注意点 |
---|---|---|
薬物代謝 | 肝機能・腎機能低下 代謝・排泄が遅延 |
少量から開始・効果の長時間持続 翌日まで影響が残る可能性 |
転倒リスク | 筋力低下・バランス能力低下 薬剤による筋弛緩 |
センサーマット・見守り強化 履物・照明の確認 |
認知機能 | 薬剤による認知機能低下 見当識障害のリスク |
定期的なオリエンテーション 家族への説明も重要 |
多剤併用 | 複数の薬剤服用 薬物相互作用のリスク |
お薬手帳の確認 薬剤師との連携 |
実習での観察・記録ポイント
📝 睡眠薬・抗不安薬使用患者の看護記録例
「22:00 ブロチゾラム0.25mg内服。『不安で眠れない』の訴えあり。投与前に十分な説明を行い、ベッド柵を上げ、ナースコールを手の届く位置に設置。22:30 軽度の傾眠状態、呼びかけに応答あり。呼吸18回/分、整。23:00 自然な入眠を確認。翌朝7:00 覚醒良好、ふらつきなし、『よく眠れました』との発言あり。」
「睡眠薬を投与した。よく眠れていた。副作用なし。」
記録のポイント:
- 投与理由と患者の訴えを具体的に
- 安全対策の実施内容を明記
- 効果の評価(入眠時間・睡眠の質)
- 副作用の有無を時系列で記録
- 翌朝の状態確認も含める


睡眠薬・抗不安薬の中止・減量時の注意
⚠️ 離脱症状(withdrawal症状)
ベンゾジアゼピン系薬剤を急激に中止すると、重篤な離脱症状が出現する可能性があります。
重症度 | 症状 | 看護対応 |
---|---|---|
軽度 | 不安・イライラ・不眠・頭痛 | 症状の観察・記録 非薬物的不安軽減法 |
中等度 | 振戦・発汗・悪心・知覚過敏 | バイタルサインの監視 医師への報告 |
重度 | けいれん・幻覚・せん妄 | 緊急対応・集中観察 安全確保最優先 |
睡眠薬・抗不安薬の安全管理チェックリスト
- 投与前確認:患者の状態・他の薬剤との併用・アレルギー歴
- 安全対策:ベッド柵・ナースコール・センサーマット
- 投与後観察:30分・1時間・2時間後の状態確認
- 翌朝評価:持ち越し効果・転倒リスクの評価
- 非薬物的介入:環境調整・傾聴・リラクゼーション
- 家族指導:副作用の説明・緊急時の対応方法
次のパートでは、実習で頻繁に使用される非オピオイド系鎮痛薬について詳しく学びます!
3. 非オピオイド系鎮痛薬(NSAIDs)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、実習で最もよく遭遇する鎮痛薬です。手術後の疼痛管理から、日常的な頭痛・腰痛まで幅広く使用されます。効果が高い反面、消化管障害や腎障害などの重要な副作用があるため、看護師の観察が欠かせません。
NSAIDsの分類と代表薬
NSAIDsの分類と特徴 | |||||
---|---|---|---|---|---|
分類 | 代表薬 | 特徴 | 適応 | 胃腸障害リスク | 実習頻度 |
プロピオン酸系 | ロキソニン (ロキソプロフェン) |
プロドラッグ 胃腸障害が比較的少ない |
術後疼痛・外傷 関節炎・頭痛 |
★★☆ | ★★★ |
フェニル酢酸系 | ボルタレン (ジクロフェナク) |
強力な抗炎症作用 外用剤もあり |
関節炎・筋肉痛 術後疼痛 |
★★★ | ★★☆ |
COX-2選択的 | セレコックス (セレコキシブ) |
胃腸障害が少ない COX-2選択的阻害 |
関節リウマチ 変形性関節症 |
★☆☆ | ★☆☆ |
ロキソニン(ロキソプロフェン)の詳細解説
💊 ロキソニンの特徴と看護ポイント
なぜロキソニンが人気なのか?
- プロドラッグ:胃では不活性→肝臓で活性化→胃腸障害が比較的少ない
- 速効性:内服後30-60分で効果発現
- 使いやすさ:1日3回まで、頓服使用も可能
- 解熱効果:鎮痛・解熱・抗炎症の3つの効果
実習でよく見る投与形態
- 内服薬:ロキソニン錠60mg(最も一般的)
- 外用薬:ロキソニンテープ・ゲル(局所の炎症に)
- 注射薬:術後疼痛・急性疼痛時
ロキソニンの重要な副作用
ロキソニンの副作用と対策 | |||
---|---|---|---|
副作用 | 発現機序 | 症状・徴候 | 看護ポイント |
胃腸障害 | 胃粘膜保護 プロスタグランジン減少 |
胃痛・悪心・嘔吐 消化管出血 |
食後投与・胃薬併用 便の色・性状確認 |
腎障害 | 腎血流量減少 プロスタグランジン阻害 |
BUN・Cr上昇 浮腫・尿量減少 |
腎機能検査値監視 水分バランス確認 |
心血管リスク | 血小板凝集抑制 血管収縮作用 |
血圧上昇・浮腫 心筋梗塞リスク |
血圧測定・心電図 循環器症状の観察 |
アレルギー反応 | 免疫反応 アスピリン喘息 |
発疹・蕁麻疹 呼吸困難・喘息発作 |
皮膚症状・呼吸状態 アレルギー歴確認 |

実習でよくある場面:術後疼痛管理
🏥 実習生D君の体験例
状況:腹部手術後2日目の患者さんが「傷が痛くて動けません」と訴え。医師からロキソニン60mg 1日3回の指示。
✅ 適切な疼痛管理アプローチ
- 疼痛評価:NRS(0-10)スケールで疼痛レベルを客観的に評価
- 投与前確認:胃痛・悪心の有無、腎機能、アレルギー歴
- 投与タイミング:食後投与・定時投与で血中濃度維持
- 効果判定:投与後1時間での疼痛レベル再評価
- 副作用観察:胃腸症状・腎機能・皮膚症状の確認
- 非薬物的ケア:体位変換・温罨法・リラクゼーション
重要:疼痛は第5のバイタルサインと言われ、適切な評価と管理が患者のQOL向上に直結
NSAIDsが禁忌・要注意な患者
🚫 NSAIDs使用禁忌・要注意患者
患者背景 | 禁忌・要注意の理由 | 看護師の役割 |
---|---|---|
消化性潰瘍の既往 | 胃粘膜保護作用阻害 潰瘍再発・出血リスク |
胃痛・黒色便の観察 PPI(胃薬)との併用確認 |
腎機能低下 | 腎血流量さらに減少 急性腎障害のリスク |
BUN・Cr値の監視 尿量・浮腫の確認 |
心疾患 | 血圧上昇・心負荷増大 心筋梗塞リスク |
血圧・心拍数の監視 胸痛・息切れの観察 |
気管支喘息 | アスピリン喘息 気管支収縮 |
呼吸状態の観察 喘鳴・呼吸困難の確認 |


NSAIDs投与時の緊急症状
- 黒色便・コールタール便:上部消化管出血の可能性
- 強い腹痛・嘔吐:胃潰瘍・十二指腸潰瘍の可能性
- 急激な浮腫・尿量減少:急性腎障害の可能性
- 呼吸困難・喘鳴:アスピリン喘息の可能性
- 発疹・蕁麻疹:アレルギー反応の可能性
次のパートでは、同じく重要な非オピオイド系鎮痛薬であるアセトアミノフェンについて学びます!
4. アセトアミノフェンの特徴と肝毒性
アセトアミノフェン(カロナール・アンヒバなど)は、NSAIDsとは異なるメカニズムで働く解熱鎮痛薬です。胃腸障害が少なく安全性が高いため、小児から高齢者まで幅広く使用されます。しかし、肝毒性という重要な副作用があるため、適切な用量管理が必要です。
アセトアミノフェンの基本情報
💊 アセトアミノフェンの基本データ
分類 | 非NSAIDs系解熱鎮痛薬 |
商品名 | カロナール・アンヒバ(坐薬)・コカール |
作用機序 | 中枢性COX阻害・視床下部の体温調節中枢に作用 |
効果 | 解熱・鎮痛(抗炎症作用は弱い) |
安全用量 | 成人:1日最大4000mg(4g)まで |
中毒量 | 150mg/kg以上で肝毒性のリスク |
アセトアミノフェン vs ロキソニンの比較
アセトアミノフェン vs ロキソニンの使い分け | ||||
---|---|---|---|---|
項目 | アセトアミノフェン | ロキソニン | 使い分けのポイント | |
抗炎症作用 | 弱い | 強い | 炎症性疼痛→ロキソニン 単純な頭痛→アセトアミノフェン |
|
胃腸障害 | ほとんどなし | あり | 胃潰瘍既往→アセトアミノフェン 健常者→どちらでも可 |
|
腎障害 | 少ない | あり | 腎機能低下→アセトアミノフェン (用量調整は必要) |
|
肝障害 | あり(高用量) | 少ない | 肝機能低下→ロキソニン (胃薬併用で) |
アセトアミノフェンの肝毒性メカニズム
⚠️ 肝毒性の発現機序と対策
正常用量での代謝
- 95%:グルクロン酸抱合・硫酸抱合→安全に排泄
- 5%:CYP2E1で代謝→NAPQI(毒性代謝物)→グルタチオンで無毒化
過量投与時の問題
- グルタチオン枯渇:NAPQI(毒性代謝物)が蓄積
- 肝細胞壊死:直接的な細胞毒性
- 急性肝不全:重篤な場合は肝移植が必要
アセトアミノフェン中毒の症状と経過
アセトアミノフェン中毒の時期別症状 | |||
---|---|---|---|
時期 | 服用後時間 | 症状 | 看護ポイント |
第1期 | 0-24時間 | 悪心・嘔吐・食欲不振 (症状が軽微なことが多い) |
消化器症状の観察 水分・電解質バランス |
第2期 | 24-72時間 | 一見改善(偽回復期) 肝酵素(AST・ALT)上昇開始 |
血液検査値の監視 症状軽快でも観察継続 |
第3期 | 72-96時間 | 肝機能障害の顕在化 黄疸・腹痛・意識障害 |
肝性脳症の観察 凝固機能の監視 |
第4期 | 4日-2週間 | 回復期または多臓器不全 腎不全・心不全の合併 |
全身状態の管理 長期的な経過観察 |

実習での用量管理と安全確認
📊 アセトアミノフェンの用量管理チェック
実習生が確認すべきポイント
- 1日総投与量の計算:定時薬+頓服薬+他の薬剤中のアセトアミノフェン
- 投与間隔の確認:最低4時間以上の間隔を維持
- 肝機能の確認:AST・ALT・ビリルビン値
- アルコール摂取歴:肝毒性のリスク因子
- 他の薬剤との重複:総合感冒薬にも含有される
危険な組み合わせ例
- カロナール500mg×3回+頓服カロナール500mg×3回=3000mg(安全範囲)
- 上記+総合感冒薬(アセトアミノフェン300mg含有)×3回=3900mg(要注意)
- 上記+解熱用カロナール追加=4400mg超過(危険)


小児・高齢者でのアセトアミノフェン使用
年齢別アセトアミノフェン使用指針 | |||
---|---|---|---|
対象 | 用量設定 | 特別な注意点 | 実習での観察ポイント |
小児 | 10-15mg/kg/回 最大60mg/kg/日 |
体重による用量計算 坐薬使用も多い |
解熱効果・機嫌 食事摂取状況 |
成人 | 500-1000mg/回 最大4000mg/日 |
標準的な用量 4-6時間間隔 |
疼痛スケール 肝機能検査値 |
高齢者 | 500mg/回から開始 最大3000mg/日 |
代謝能力低下 少量から開始 |
認知機能・ADL 長時間作用に注意 |
アセトアミノフェン使用時の絶対確認事項
- 1日総投与量4000mg以下:すべての薬剤を合計して計算
- 最低投与間隔4時間:肝臓での代謝時間を考慮
- 肝機能検査値の確認:AST・ALT・ビリルビン値
- アルコール摂取歴:肝毒性のリスク因子
- 市販薬・サプリメントの確認:重複投与の防止
- 体重50kg未満は用量調整:mg/kg換算での評価
実習でよくある疑問:解熱時の使い分け
🌡️ 発熱患者への解熱薬選択
患者背景 | 第一選択 | 避けるべき薬剤 | 理由 |
---|---|---|---|
小児(15歳未満) | アセトアミノフェン | アスピリン系 | ライ症候群のリスク |
胃潰瘍既往 | アセトアミノフェン | NSAIDs | 消化管障害のリスク |
腎機能低下 | アセトアミノフェン (用量調整) |
NSAIDs | 腎血流量減少 |
肝機能低下 | NSAIDs (胃薬併用) |
アセトアミノフェン | 肝毒性のリスク |

非オピオイド系鎮痛薬の覚え方
- ロキソニン:「ロキロキ炎症(抗炎症)強いけど胃(胃腸障害)に注意」
- アセトアミノフェン:「アセトは肝臓(肝毒性)4000mg超えたらアセト(あせっと)」
- 使い分け:「胃腎悪ければアセト、肝臓悪ければロキソニン」
- 小児発熱:「15歳未満はアセトアミノフェン、アスピリンはライ症候群」
- 疼痛評価:「投与前後で必ずNRSで評価、第5のバイタル」
次のパートでは、より強力な鎮痛効果を持つオピオイド系鎮痛薬について学びます!
4. アセトアミノフェンの特徴と肝毒性
アセトアミノフェン(カロナール・アンヒバなど)は、NSAIDsとは異なるメカニズムで働く解熱鎮痛薬です。胃腸障害が少なく安全性が高いため、小児から高齢者まで幅広く使用されます。しかし、肝毒性という重要な副作用があるため、適切な用量管理が必要です。
アセトアミノフェンの基本情報
💊 アセトアミノフェンの基本データ
分類 | 非NSAIDs系解熱鎮痛薬 |
商品名 | カロナール・アンヒバ(坐薬)・コカール |
作用機序 | 中枢性COX阻害・視床下部の体温調節中枢に作用 |
効果 | 解熱・鎮痛(抗炎症作用は弱い) |
安全用量 | 成人:1日最大4000mg(4g)まで |
中毒量 | 150mg/kg以上で肝毒性のリスク |
アセトアミノフェン vs ロキソニンの比較
アセトアミノフェン vs ロキソニンの使い分け | ||||
---|---|---|---|---|
項目 | アセトアミノフェン | ロキソニン | 使い分けのポイント | |
抗炎症作用 | 弱い | 強い | 炎症性疼痛→ロキソニン 単純な頭痛→アセトアミノフェン |
|
胃腸障害 | ほとんどなし | あり | 胃潰瘍既往→アセトアミノフェン 健常者→どちらでも可 |
|
腎障害 | 少ない | あり | 腎機能低下→アセトアミノフェン (用量調整は必要) |
|
肝障害 | あり(高用量) | 少ない | 肝機能低下→ロキソニン (胃薬併用で) |
アセトアミノフェンの肝毒性メカニズム
⚠️ 肝毒性の発現機序と対策
正常用量での代謝
- 95%:グルクロン酸抱合・硫酸抱合→安全に排泄
- 5%:CYP2E1で代謝→NAPQI(毒性代謝物)→グルタチオンで無毒化
過量投与時の問題
- グルタチオン枯渇:NAPQI(毒性代謝物)が蓄積
- 肝細胞壊死:直接的な細胞毒性
- 急性肝不全:重篤な場合は肝移植が必要
アセトアミノフェン中毒の症状と経過
アセトアミノフェン中毒の時期別症状 | |||
---|---|---|---|
時期 | 服用後時間 | 症状 | 看護ポイント |
第1期 | 0-24時間 | 悪心・嘔吐・食欲不振 (症状が軽微なことが多い) |
消化器症状の観察 水分・電解質バランス |
第2期 | 24-72時間 | 一見改善(偽回復期) 肝酵素(AST・ALT)上昇開始 |
血液検査値の監視 症状軽快でも観察継続 |
第3期 | 72-96時間 | 肝機能障害の顕在化 黄疸・腹痛・意識障害 |
肝性脳症の観察 凝固機能の監視 |
第4期 | 4日-2週間 | 回復期または多臓器不全 腎不全・心不全の合併 |
全身状態の管理 長期的な経過観察 |

実習での用量管理と安全確認
📊 アセトアミノフェンの用量管理チェック
実習生が確認すべきポイント
- 1日総投与量の計算:定時薬+頓服薬+他の薬剤中のアセトアミノフェン
- 投与間隔の確認:最低4時間以上の間隔を維持
- 肝機能の確認:AST・ALT・ビリルビン値
- アルコール摂取歴:肝毒性のリスク因子
- 他の薬剤との重複:総合感冒薬にも含有される
危険な組み合わせ例
- カロナール500mg×3回+頓服カロナール500mg×3回=3000mg(安全範囲)
- 上記+総合感冒薬(アセトアミノフェン300mg含有)×3回=3900mg(要注意)
- 上記+解熱用カロナール追加=4400mg超過(危険)


小児・高齢者でのアセトアミノフェン使用
年齢別アセトアミノフェン使用指針 | |||
---|---|---|---|
対象 | 用量設定 | 特別な注意点 | 実習での観察ポイント |
小児 | 10-15mg/kg/回 最大60mg/kg/日 |
体重による用量計算 坐薬使用も多い |
解熱効果・機嫌 食事摂取状況 |
成人 | 500-1000mg/回 最大4000mg/日 |
標準的な用量 4-6時間間隔 |
疼痛スケール 肝機能検査値 |
高齢者 | 500mg/回から開始 最大3000mg/日 |
代謝能力低下 少量から開始 |
認知機能・ADL 長時間作用に注意 |
アセトアミノフェン使用時の絶対確認事項
- 1日総投与量4000mg以下:すべての薬剤を合計して計算
- 最低投与間隔4時間:肝臓での代謝時間を考慮
- 肝機能検査値の確認:AST・ALT・ビリルビン値
- アルコール摂取歴:肝毒性のリスク因子
- 市販薬・サプリメントの確認:重複投与の防止
- 体重50kg未満は用量調整:mg/kg換算での評価
実習でよくある疑問:解熱時の使い分け
🌡️ 発熱患者への解熱薬選択
患者背景 | 第一選択 | 避けるべき薬剤 | 理由 |
---|---|---|---|
小児(15歳未満) | アセトアミノフェン | アスピリン系 | ライ症候群のリスク |
胃潰瘍既往 | アセトアミノフェン | NSAIDs | 消化管障害のリスク |
腎機能低下 | アセトアミノフェン (用量調整) |
NSAIDs | 腎血流量減少 |
肝機能低下 | NSAIDs (胃薬併用) |
アセトアミノフェン | 肝毒性のリスク |

非オピオイド系鎮痛薬の覚え方
- ロキソニン:「ロキロキ炎症(抗炎症)強いけど胃(胃腸障害)に注意」
- アセトアミノフェン:「アセトは肝臓(肝毒性)4000mg超えたらアセト(あせっと)」
- 使い分け:「胃腎悪ければアセト、肝臓悪ければロキソニン」
- 小児発熱:「15歳未満はアセトアミノフェン、アスピリンはライ症候群」
- 疼痛評価:「投与前後で必ずNRSで評価、第5のバイタル」
次のパートでは、より強力な鎮痛効果を持つオピオイド系鎮痛薬について学びます!
6. モルヒネの詳細と副作用管理
モルヒネは、オピオイド系鎮痛薬の代表格で「鎮痛薬の王様」とも呼ばれます。がん性疼痛や術後の強い痛みに対して優れた効果を発揮しますが、その分副作用も強く、看護師による適切な観察と管理が不可欠です。
モルヒネの製剤と特徴
💊 モルヒネ製剤の種類と使い分け
製剤名 | 作用時間 | 使用場面 | 投与経路 | 実習頻度 |
---|---|---|---|---|
モルヒネ注射液 | 3-4時間 | 急性疼痛・突出痛 用量調整時 |
静注・皮下注 | ★★☆ |
MSコンチン (徐放錠) |
8-12時間 | 慢性疼痛の維持療法 定時投与 |
経口 | ★★★ |
アンペック坐薬 | 8-12時間 | 経口摂取困難時 悪心・嘔吐時 |
直腸内 | ★☆☆ |
モルヒネ投与時の重要な観察ポイント
モルヒネ投与患者の観察項目 | |||
---|---|---|---|
観察項目 | 正常範囲・目標 | 異常時の症状 | 対応 |
呼吸状態 | 呼吸数:12-20回/分 SpO2:95%以上 |
呼吸数<8回/分 浅い呼吸・チアノーゼ |
酸素投与・医師コール ナロキソン準備 |
疼痛レベル | NRS:0-3 (日常生活に支障なし) |
NRS:4以上 動作時痛・安静時痛 |
レスキュー薬検討 用量調整の相談 |
意識レベル | 清明・見当識保持 適度な鎮静 |
呼びかけに反応鈍い 見当識障害 |
神経学的評価 用量調整検討 |
排便状況 | 1日1回以上 適度な硬さ |
3日以上排便なし 腹部膨満・苦悶 |
下剤投与・浣腸 水分・食物繊維摂取 |


モルヒネの用量調整と投与方法
📊 モルヒネの投与パターン
投与パターン | 使用目的 | 投与方法 | 看護ポイント |
---|---|---|---|
定時投与 (ベース) |
持続的な疼痛緩和 24時間の痛みコントロール |
MSコンチン 12時間毎 |
服薬時間の厳守 噛み砕き禁止 |
レスキュー (頓服) |
突出痛・手技時の疼痛 即座の疼痛緩和 |
速放性製剤 必要時投与 |
疼痛評価後投与 効果判定 |
持続投与 (PCA) |
重篤な疼痛 患者自己調節 |
静注・硬膜外 持続+ボーラス |
PCAポンプ管理 過量投与防止 |
実習で重要!モルヒネの副作用対策
⚠️ 副作用別の予防・対策
① 便秘対策(最重要)
- 予防的下剤投与:センノシド・酸化マグネシウム
- 水分摂取促進:1日1500mL以上
- 食物繊維摂取:野菜・果物・海藻類
- 適度な運動:腹部マッサージ・歩行
- 排便記録:形状・量・頻度を記録
② 悪心・嘔吐対策
- 制吐薬の併用:ドンペリドン・プロクロルペラジン
- 少量頻回摂取:食事を小分けにして摂取
- 環境調整:換気・臭気の除去
- 水分・電解質管理:脱水の予防
③ 眠気・鎮静対策
- 転倒予防:ベッド柵・センサーマット
- ADL評価:自立度の変化を確認
- 家族指導:見守りの重要性
- 段階的離床:無理のない活動レベル
実習生が遭遇しやすいトラブル事例
🏥 実習での対応例:がん病棟にて
状況:MSコンチン30mgを朝夕服用中の患者さんが「夜中に痛くて眠れなかった」と訴え。朝の疼痛評価でNRS=7。
✅ 適切な看護アプローチ
- 疼痛の詳細評価:部位・性質・持続時間・増悪因子
- 前回投与時間確認:MSコンチンの服用時刻
- レスキュー薬の確認:頓服モルヒネの指示有無
- 医師への報告:疼痛コントロール不良の状況報告
- 非薬物的ケア:体位変換・温罨法・マッサージ
- 効果判定:追加投与後の疼痛レベル再評価
重要:疼痛コントロールは患者の尊厳に関わる重要なケア。我慢させるのではなく適切な疼痛管理を

モルヒネ投与患者の観察チェックリスト
- 呼吸観察:毎時の呼吸数・SpO2・呼吸パターン
- 疼痛評価:NRSスケール・疼痛の性質
- 意識レベル:JCS・覚醒状態・見当識
- バイタルサイン:血圧・脈拍・体温
- 消化器症状:悪心・嘔吐・食事摂取量
- 排便管理:排便回数・便性状・腹部症状
- 転倒リスク:ふらつき・筋力低下・ADL変化
次のパートでは、疼痛管理の基本原則である「WHO三段階鎮痛ラダー」について詳しく学びます!
7. WHO三段階鎮痛ラダーと実習での応用
WHO三段階鎮痛ラダーは、世界保健機関が提唱する疼痛管理の基本原則です。軽度から重度まで、疼痛の強さに応じて段階的に薬剤を選択する考え方で、現在の疼痛管理の標準となっています。実習では、この原則を理解することで適切な疼痛アセスメントと看護ケアができるようになります。
WHO三段階鎮痛ラダーの構成
WHO三段階鎮痛ラダー | |||||
---|---|---|---|---|---|
段階 | 疼痛レベル | 使用薬剤 | 代表例 | 補助薬 | NRS |
第1段階 | 軽度疼痛 日常生活可能 |
非オピオイド系 鎮痛薬 |
アセトアミノフェン ロキソニン |
必要に応じて 鎮痛補助薬 |
1-3 |
第2段階 | 中等度疼痛 日常生活に支障 |
弱オピオイド +非オピオイド |
トラマドール +アセトアミノフェン |
鎮痛補助薬 併用推奨 |
4-6 |
第3段階 | 重度疼痛 耐え難い痛み |
強オピオイド +非オピオイド |
モルヒネ・フェンタニル +アセトアミノフェン |
鎮痛補助薬 併用必須 |
7-10 |

鎮痛補助薬の役割
💡 鎮痛補助薬(アジュバント)の活用
薬剤分類 | 代表薬 | 適応する疼痛 | 効果 |
---|---|---|---|
抗けいれん薬 | ガバペンチン プレガバリン |
神経因性疼痛 しびれ・電撃痛 |
神経の過敏性抑制 異常放電の抑制 |
抗うつ薬 | アミトリプチリン デュロキセチン |
慢性疼痛 線維筋痛症 |
下行性疼痛抑制系強化 セロトニン・ノルアドレナリン |
ステロイド | プレドニゾロン デキサメタゾン |
炎症性疼痛 神経圧迫痛 |
抗炎症作用 神経浮腫軽減 |
実習での疼痛アセスメント手順
📋 PQRST法による疼痛アセスメント
項目 | 英語 | 具体的な質問例 | アセスメントのポイント |
---|---|---|---|
P | Palliative (緩和因子) |
「どんな時に痛みが楽になりますか?」 「薬以外で楽になる方法は?」 |
体位・温度・マッサージ等 非薬物的ケアのヒント |
Q | Quality (性質) |
「どんな痛みですか?」 「ズキズキ?チクチク?」 |
疼痛の性質で原因推定 適切な薬剤選択 |
R | Region (部位) |
「どこが痛みますか?」 「痛みは広がりますか?」 |
疼痛部位の特定 放散痛の確認 |
S | Severity (強さ) |
「0-10で表すとどのくらい?」 「我慢できる痛みですか?」 |
NRSスケールで客観化 治療効果の評価基準 |
T | Timing (時間) |
「いつから痛みますか?」 「どんな時に悪化しますか?」 |
発症時期・変動パターン 増悪・軽快因子 |


実習記録での疼痛に関する記載例
📝 実習記録での疼痛記載のポイント
「14:00 『お腹の傷が痛くて動けません』の訴えあり。疼痛部位は手術創部、NRS=6、刺すような鋭い痛みで持続的。体動時に増強、安静時はNRS=4に軽減。前回鎮痛薬投与から4時間経過。医師に報告し、ロキソニン60mg内服指示にて投与。15:00 NRS=3に改善、『少し楽になりました』との発言あり。」
「痛みの訴えあり。鎮痛薬を投与した。痛みは軽減した。」
WHO鎮痛ラダーの実践ポイント
- 段階的アプローチ:軽度→中等度→重度の順に薬剤強化
- 定時投与の原則:痛みが出る前に予防的に投与
- レスキュー薬の併用:突出痛に対する頓服薬
- 個別化の重要性:患者の年齢・病態・副作用を考慮
- 非薬物的ケアの併用:薬剤だけに頼らない総合的アプローチ
- 効果判定と調整:定期的な疼痛評価と用量調整
次のパートでは、抗精神病薬の基礎知識について学びます!
8. 抗精神病薬の基礎知識
抗精神病薬は、統合失調症や双極性障害などの精神疾患の治療に使用される薬剤です。実習では精神科病棟だけでなく、一般病棟でも「不穏」や「せん妄」の患者さんに使用されることが多く、看護学生にとって重要な知識の一つです。
抗精神病薬の分類と特徴
抗精神病薬の分類と特徴 | |||||
---|---|---|---|---|---|
分類 | 代表薬 | 作用機序 | 主な適応 | 錐体外路症状 | 実習頻度 |
定型 (第1世代) |
ハロペリドール (セレネース) |
D2受容体 強力遮断 |
陽性症状 不穏・興奮 |
多い | ★★★ |
非定型 (第2世代) |
リスペリドン (リスパダール) |
D2+5HT2A 受容体遮断 |
陽性・陰性症状 統合失調症 |
中程度 | ★★★ |
新規 (第3世代) |
アリピプラゾール (エビリファイ) |
D2受容体 部分作動薬 |
統合失調症 双極性障害 |
少ない | ★★☆ |

① ハロペリドール(セレネース)- 定型抗精神病薬の代表
⚠️ ハロペリドールの基本情報
分類 | ブチロフェノン系抗精神病薬 |
作用機序 | ドーパミンD2受容体の強力な遮断 |
適応 | 統合失調症・せん妄・不穏状態・術後悪心嘔吐 |
投与経路 | 経口・筋肉注射・点滴静注 |
特徴 | 即効性があるが錐体外路症状が出やすい |
② リスペリドン(リスパダール)- 非定型抗精神病薬
リスペリドンの特徴 | |
---|---|
作用機序 | D2受容体 + 5HT2A受容体遮断(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist) |
効果 | 陽性症状(幻覚・妄想)+ 陰性症状(意欲低下・感情鈍麻)の両方に効果 |
メリット | 錐体外路症状が比較的少ない・認知機能への影響が軽微 |
副作用 | 体重増加・高プロラクチン血症・起立性低血圧 |
投与形態 | 錠剤・内用液・持効注射剤(リスパダール コンスタ) |


9. 錐体外路症状の詳細と観察ポイント
錐体外路症状(EPS:Extrapyramidal Symptoms)は、抗精神病薬の最も重要な副作用の一つです。運動機能に関わる脳の錐体外路系に薬剤が影響することで起こり、患者さんのQOL(生活の質)に大きく影響します。
錐体外路症状の分類と特徴
錐体外路症状の分類と観察ポイント | ||||
---|---|---|---|---|
症状名 | 発現時期 | 主な症状 | 観察ポイント | 緊急度 |
急性ジストニア | 数時間〜数日 | 斜頚・眼球上転 舌突出・開口障害 |
首や顔の異常な動き 話しにくさ・飲み込み困難 |
高 |
パーキンソン症候群 | 数日〜数週間 | 振戦・筋強剛 歩行障害・無動 |
手の震え・動作の緩慢 表情の乏しさ・小刻み歩行 |
中 |
アカシジア | 数日〜数週間 | 静座不能 落ち着きのなさ |
じっと座っていられない 足踏み・体の揺れ |
中 |
遅発性ジスキネジア | 数ヶ月〜数年 | 口や舌の異常運動 手指の不随意運動 |
舌なめずり・口をもぐもぐ 手指のピアノ弾き様運動 |
高 |
実習での観察と記録のポイント
📝 錐体外路症状の観察チェックリスト
- 表情は豊かか?無表情になっていないか?
- 瞬きの回数は正常か?
- 舌の動きに異常はないか?(突出・震え)
- 口をもぐもぐと動かしていないか?
- よだれが多くないか?
- 手に震えはないか?(安静時振戦)
- 動作は緩慢になっていないか?
- 筋肉のこわばりはないか?
- 歩行に変化はないか?(小刻み歩行・前傾姿勢)
- じっと座っていられるか?(アカシジア)

錐体外路症状の治療薬
錐体外路症状の治療薬 | |||
---|---|---|---|
薬剤名 | 作用機序 | 適応症状 | 投与方法 |
ビペリデン (アキネトン) |
抗コリン作用 アセチルコリン遮断 |
急性ジストニア パーキンソン症候群 |
経口・筋注・静注 緊急時は静注 |
プロプラノロール (インデラル) |
β遮断作用 アドレナリン遮断 |
アカシジア 振戦 |
経口投与 慎重な用量調整 |
- 即座に報告:指導者・医師への迅速な連絡
- 症状の詳細記録:いつから・どの部位に・どの程度
- 患者の不安軽減:「治療可能な副作用」であることの説明
- 安全確保:転倒リスクの評価と環境整備
- 継続観察:治療開始後の症状変化の追跡
10. まとめ:中枢神経系・精神科薬剤の実習ポイント
中枢神経系・精神科薬剤は、看護学生にとって理解が難しい分野の一つですが、実習や国家試験では必ず出題される重要な内容です。特に副作用の観察と対応は、患者さんの安全に直結する重要なスキルです。
国家試験対策:頻出ポイント総まとめ
📝 国試で絶対出る重要ポイント
薬剤分類 | 国試頻出ポイント | 覚え方のコツ |
---|---|---|
睡眠薬 | 依存性・耐性・反跳性不眠 高齢者への慎重投与 |
「ベンゾは依存、Zドラッグは比較的安全」 |
NSAIDs | 胃腸障害・腎機能低下 アスピン喘息 |
「NSAIDsは胃と腎臓に注意」 |
アセトアミノフェン | 肝毒性・大量服用時の解毒薬 妊婦・小児でも使用可能 |
「アセトは肝臓、でも安全」 |
オピオイド | 呼吸抑制・便秘・依存 拮抗薬ナロキソン |
「オピオイドは呼吸止める」 |
抗精神病薬 | 錐体外路症状・遅発性ジスキネジア 定型 vs 非定型の違い |
「定型は震える、非定型は太る」 |

- 睡眠薬使用患者:翌朝の眠気・ふらつき・転倒リスクの評価
- 鎮痛薬使用患者:疼痛スケール(NRS)での効果判定・副作用観察
- 抗精神病薬使用患者:錐体外路症状の早期発見・ADL低下の防止
- 高齢者:薬物動態の変化による副作用の増強に注意
- 服薬アドヒアランス:患者の理解度・服薬状況の確認
- 薬剤相互作用:併用薬による効果や副作用の変化
実習記録での薬剤記載の良い例
📝 実習記録記載例
「患者はリスペリドン2mg/日を統合失調症に対して服用中。本日、歯磨き時に舌の軽微な震えを観察。患者からも『舌がピクピクする』との訴えあり。錐体外路症状の初期症状と判断し、指導者に報告。医師診察の結果、薬剤性の舌振戦と診断され、ビペリデン1mg/日が追加処方となった。患者に対し、『薬の調整により改善する副作用』であることを説明し、不安の軽減を図った。」
「リスペリドンを服用している。副作用はない。」
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🌟 次回予告
パート4では「循環器系薬剤(降圧薬・利尿薬・強心薬)」について詳しく解説予定です。高血圧や心不全の患者さんに使われる重要な薬剤を、実習での観察ポイントとともにお伝えします!
🏥 実習で自信を持って患者さんをケアできるよう、一緒に頑張りましょう!
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