看護学生の皆さん、こんにちは!看護学生アドバイザーのかずです。今回は、多くの看護学生が「難しい」「苦手」と感じる呼吸器看護について、基礎の基礎から実践で使える知識まで、徹底的に解説していきます。

なぜ呼吸器看護は難しいと感じるのか?
実習前の看護学生から、こんな相談をよく受けます。

呼吸器看護が難しく感じられる理由は、主に以下の3つが考えられます。
- 解剖生理が複雑:呼吸中枢、肺胞換気、ガス交換など覚えることが多い
- 機器の種類が豊富:ナーザルカニューレ、酸素マスク、人工呼吸器など使い分けが必要
- 病態が多様:COPD、肺炎、呼吸不全など、それぞれ看護ポイントが異なる

呼吸のメカニズム:なぜ私たちは呼吸できるのか?
まずは呼吸がなぜ大切なのかから理解していきましょう。呼吸は「生きるために絶対に必要」な機能です。
呼吸が必要な理由
私たちの体は、食事から得たブドウ糖をエネルギーに変える必要があります。しかし、ブドウ糖だけではエネルギーになりません。
焚き火のイメージで理解しよう
- 燃やすもの:ブドウ糖(食事から摂取)
- 燃やすために必要:酸素(呼吸で取り込み)
- 燃えた後の灰:二酸化炭素(呼吸で排出)
つまり、酸素がないとエネルギーが作れず、二酸化炭素を出さないと体に毒が溜まってしまうのです。
呼吸をコントロールする「司令塔」たち
呼吸は自動的に行われていますが、実は体の中に「呼吸の司令塔」があります。
呼吸をコントロールする重要な場所 | ||
---|---|---|
名前 | 場所 | 何を感知するか |
中枢化学受容体 | 延髄 | 二酸化炭素の増加 → CO₂が増えると「息を吸え!」と指令を出す |
末梢化学受容体 | 頸動脈・大動脈 | 酸素の低下 → O₂が少なくなると「もっと呼吸しろ!」と指令を出す |
呼吸中枢 | 延髄 | 呼吸のリズム調整 → 息を吸う・吐くのタイミングをコントロール |

なぜ呼吸回数が増えるのか?
患者さんの呼吸が早くなる理由を理解しておくと、アセスメントがぐっと楽になります。
呼吸が早くなる3つの理由
- 肺が小さい:新生児や小児(肺の容量が少ないため)
- 呼吸機能の低下:肺胞の機能が未熟・低下している
- エネルギー消費の増加:発熱、感染、運動時など


肺胞換気のメカニズム:酸素と二酸化炭素の交換
一回の呼吸でどれくらいの空気が動くの?
実は、私たちが一回の呼吸で取り込む空気の量は決まっています。
覚えておこう!一回換気量成人男性:約400-500mL(ペットボトル1本分)
この量は、スパイロメトリー(呼吸機能検査)でも重要な指標になります。
胸腔内圧が「陰圧」ってどういうこと?
多くの学生が混乱するポイントですが、これを理解すると呼吸のメカニズムがスッキリ分かります。
風船と瓶のイメージで理解しよう
想像してください:
- 瓶の中に風船が入っている状態
- 瓶の外側から掃除機で空気を吸う
- すると、風船は外側に引っ張られて膨らむ
これが肺の仕組みです:
- 瓶 = 胸腔
- 風船 = 肺
- 掃除機の力 = 胸腔内の陰圧

酸素療法の基礎知識:適切な器具選択のポイント
実習で必ず出会う酸素療法。器具の選択には明確な理由があります。
酸素療法とは何か?
酸素療法の基本
- 目的:低酸素血症の改善
- 方法:大気中の酸素濃度(21%)を高めて投与
- 目標:SpO₂を90-95%に維持
主な酸素投与器具とその特徴
酸素投与器具の比較 | |||
---|---|---|---|
器具名 | 流量 | 特徴 | 適応場面 |
ナーザルカニューレ | 1-6L/分 | 鼻腔から投与 食事・会話可能 |
軽度の低酸素血症 長期療養の患者 |
簡易酸素マスク | 5-8L/分 | 口・鼻を覆う 高濃度酸素投与 |
中等度の低酸素血症 急性期の患者 |
リザーバー付きマスク | 6-10L/分 | 風船状の酸素貯留部 より高濃度投与 |
重度の低酸素血症 緊急時 |
ベンチュリーマスク | 設定により 変動 |
正確な酸素濃度 コマを交換 |
COPD患者 正確な酸素管理が必要 |
酸素マスクの流量が5L/分からの理由

これは非常に重要なポイントです。手で口を覆って息をしてみてください。苦しくなりませんか?
マスクの流量が重要な理由低流量(1-4L/分)だと:
- 患者が吐いた二酸化炭素がマスク内に溜まる
- 次に吸う時に二酸化炭素を再呼吸してしまう
- 結果的に呼吸困難が悪化する
5L/分以上必要な理由:
マスク内の二酸化炭素を洗い流すのに十分な流量が必要だから

スパイロメトリー(呼吸機能検査)の基礎理解
スパイロメトリーは「肺がどれくらい働いているか」を調べる検査です。国家試験でもよく出題されます。
基本的な用語をイメージで覚えよう
まずは実際に体を動かして理解してみましょう。
体験してみよう!
- 普通に呼吸:息を吸って、吐いて(これが「一回換気量」)
- 思いっきり吸って:限界まで空気を吸い込む(「最大吸気」)
- 思いっきり吐いて:できるだけ空気を吐き出す(「最大呼気」)
- 普通の呼吸に戻す
スパイロメトリーの主要な測定値 | ||
---|---|---|
用語 | 意味 | 正常値(目安) |
一回換気量(TV) | 普通の呼吸で動く空気の量 | 約500mL |
予備吸気量(IRV) | 普通の吸気後、さらに吸える量 | 約3000mL |
予備呼気量(ERV) | 普通の呼気後、さらに吐ける量 | 約1000mL |
残気量(RV) | 最大呼気後も肺に残る空気 | 約1500mL |
重要な合成値の理解
覚えておきたい計算式
- 肺活量(VC) = 一回換気量 + 予備吸気量 + 予備呼気量
- 機能的残気量(FRC) = 予備呼気量 + 残気量
- 全肺容量(TLC) = 肺活量 + 残気量
残気量と機能的残気量の意味

とても良い質問ですね。これには解剖学的な理由があります。
風船の例で理解しよう
風船を膨らませて手を離すと:
- 空気は抜けるが、完全にぺしゃんこにはならない
- ゴムの弾性で少し形が残る
肺も同じです:
- 肺の弾性で完全には縮まない
- 気道(鼻から肺胞まで)に空気が残る
- この残った空気が「残気量」

パート1のまとめ
今回のパート1では、呼吸器看護の基礎となる重要なポイントを学びました。
パート1で学んだ重要ポイント
- 呼吸の司令塔:中枢化学受容体(CO₂感知)、末梢化学受容体(O₂感知)
- 呼吸のメカニズム:胸腔内陰圧により肺が膨らむ仕組み
- 酸素療法の基本:器具選択の理由と適切な流量設定
- スパイロメトリー:一回換気量、残気量、機能的残気量の意味
次回のパート2では、いよいよ実践的な内容に入ります。Ⅰ型・Ⅱ型呼吸不全の違いや、COPD・肺炎患者の看護について詳しく解説していきます。
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