「電子カルテって何を見ればいいかわからない…」
「情報収集に時間がかかりすぎて、指導者に注意された…」
実習中、そんな悩みを感じたことはありませんか?
じつは、電子カルテで何を見るべきかを学校でしっかり教わることはほとんどありません。だから多くの看護学生が実習現場に出て初めて「あれ、どこ見ればいいんだろう」と迷子になってしまうんです。
この記事では、9年以上の臨床経験を持つかず学長が、実際の指導場面でお伝えしている電子カルテの情報収集ポイントと正しい見方の順番をわかりやすく解説します。これを読めば、実習初日から迷わず動けるようになりますよ!


実習で電子カルテの「何を見るか」で迷う3つの理由
まずは「なぜ電子カルテの情報収集で迷ってしまうのか」を整理しておきましょう。原因がわかると、対策も立てやすくなります。

① カルテの構成を事前に知らないから
電子カルテは病院によってシステムが異なり、どこに何の情報があるか、初めてでは見当がつきません。「データベース」「ドクター記録」「看護記録」「温度板」など、どのタブに何が書かれているかを知らないまま実習に臨む学生がほとんどです。
② 「全部見なきゃ」という思い込みがあるから
「情報収集は完璧にやらなきゃ」という意識が強すぎると、かえって時間をとられすぎてしまいます。電子カルテには膨大な情報が詰まっていますが、最初から全部読もうとする必要はまったくありません。
③ 「何が優先情報か」の判断基準がないから
看護師であれば経験から「これは今すぐ確認すべき情報だ」と判断できますが、学生のうちはその基準がまだ育っていません。優先度の高い情報から順番に見る視点が必要です。

電子カルテで「何を見るか」を整理する3軸の考え方
電子カルテで何を見るかを整理するとき、「過去・現在・これから」の3軸で考えると非常にスッキリします。これは関連図やアセスメントの考え方とも完全に一致しています。

「過去」:患者さんのこれまでを知る
なぜ入院することになったのか、どんな疾患・既往歴があるのかを把握します。診断名・入院までの経緯・既往歴・アレルギー情報などがここに入ります。
「現在」:今この瞬間の状態を把握する
今どんな症状があり、どんな治療・ケアが行われているかを確認します。現在の経過記録・看護ケアの実施内容・バイタルサインの推移などがここに含まれます。
「これから」:起こりうることを予測する
予定されている検査・治療・処置と、それに伴って起こりうる副作用や合併症リスクを考えます。治療計画・薬剤・処置のスケジュールなどがここに入ります。
| 時間軸 | 見るべき情報 | わかること |
|---|---|---|
| 📋 過去 | データベース 入院時ドクター記録 既往歴・アレルギー |
なぜ入院したか、これまでの病歴と生活状態 |
| 🏥 現在 | 看護ケア実施記録 温度板(バイタル) 現在の経過記録 |
今どんなケア・治療が行われているか、バイタルの推移 |
| 🔮 これから | 治療計画・処置予定 薬剤・検査オーダー |
予定されている処置と起こりうるリスク・副作用 |
この3軸を頭に入れておくだけで、「今自分が見ている情報がどこに位置するのか」が整理されて、情報収集がぐっとスムーズになります。
📌 ポイント:3軸で情報収集を整理しよう
- 「過去」→ データベース・入院時ドクター記録でこれまでを把握
- 「現在」→ 看護記録・温度板で今の状態を把握
- 「これから」→ 治療計画・薬剤で今後を予測する
- この3軸はアセスメント・関連図の考え方とも共通している

実習で電子カルテを開いたら「何を見るか」具体的な4項目
では、実際に電子カルテで何を見るかを具体的に解説します。初日でも中盤でも、基本的な見るべき項目は変わりません。この4つを押さえておきましょう。

見るべき項目① データベース|患者さんの全体像を掴む
電子カルテを開いて最初に確認したいのが「データベース」です。ここには患者さんの基本情報がまとまっています。
- 現在のADL(日常生活動作)の状態
- 疾患名・主な症状
- 既往歴・アレルギー
- 家族構成・キーパーソン
「この患者さんは普段どんな状態で生活できているのか」という全体像をここで把握します。コミュニケーションに向かう前の準備としても欠かせない情報源です。
見るべき項目② 入院時ドクター記録(意識記録)|なぜ入院したかを知る
次に見るべきは入院時のドクター記録(意識記録)です。患者さんがなぜ入院することになったのか、どんな治療方針が立てられたのかが書かれています。
治療内容の変更・新しい薬剤の追加・処置の開始はドクター記録に記録されます。看護記録だけ見ていると見落とすことがあるので、特に意識して確認しましょう。

見るべき項目③ 看護ケア実施記録|ケア・処置の変化を確認する
看護師が実施したケアや処置はすべて看護記録の実施欄に記録されます。例えば…
- 「導尿を実施した」
- 「体位変換を行った」
- 「点滴の速度を変更した」
- 「長谷川式スケールの評価を行った」
土日をまたいで実習に来た月曜日などは、「週末に何かケアが追加・変更されていないか」をこの欄でチェックすることが特に重要です。


見るべき項目④ 温度板|バイタルサインのベースラインを把握する
最後に確認するのが「温度板」です。体温・血圧・脈拍・SpO₂・呼吸数などのバイタルサインの推移がグラフや数値で確認できます。
初日のうちに「この患者さんのバイタルは普段どのくらいの数値か」というベースラインを把握しておくことが大切です。ベースラインを知っておくことで、実習中に「いつもより血圧が高い」「SpO₂が下がってきている」などの異常への気づきが早くなります。
電子カルテで「何を見るか」迷わないための実践テクニック
ここまでの内容を踏まえて、実習現場で実践できる「見落とし防止テクニック」を2つ紹介します。
テクニック①:実習当日は「現在→過去」の順で見る
初日は「過去→現在→これから」の順で見ますが、2日目以降は「現在(今日の状態)から先に確認する」ことをおすすめします。
まず今日の温度板と看護記録の実施欄を確認し、「昨日と何か変わっていないか」をチェック。その後、必要に応じてドクター記録で治療の変更がないかを確認する流れです。
| 確認タイミング | 見る順番 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 実習初日 | ① データベース ② 入院時ドクター記録 ③ 看護実施記録 ④ 温度板 |
患者さんの全体像を把握してから患者さんのもとへ行く |
| 2日目以降 (週明け含む) |
① 今日の温度板 ② 看護実施記録(直近) ③ 必要ならドクター記録 |
「前回から変化がないか」を最優先でチェック |
テクニック②:「最低限の情報」でさっさと患者さんのもとへ行く
電子カルテは病棟に3〜5台しかなく、実習チーム全員が同時に使えません。情報収集に固執しすぎると他のメンバーの妨げになりますし、指導者に「早く患者さんのところへ行きなさい」と注意されることになります。
実習初日に最低限必要な情報はこれだけです。
📋 初日に最低限取る情報はこの2つだけ!
- ① 何の病気で入院しているか(疾患名)
- ② 今どんな症状が出ているか
この2つがわかれば患者さんのもとへ行けます。生活歴や詳細情報は患者さんから直接聞けば補えます!
まとめ:電子カルテで「何を見るか」はポイントと順番で決まる
今回は、実習で迷いやすい電子カルテの「何を見るか」について、考え方から具体的な項目まで解説しました。
✅ この記事のまとめ
- 電子カルテの情報収集は「過去・現在・これから」の3軸で整理する
- 初日に見るべき4項目は「データベース・入院時ドクター記録・看護実施記録・温度板」
- 治療変更・新薬はドクター記録に、ケア変化は看護記録の実施欄に書かれている
- 2日目以降は「現在→過去」の順で直近の変化を最初にチェック
- 初日の最低限情報は「疾患名と現在の症状」だけ。取れたらすぐ患者さんのもとへ!

実習で不安を感じることは誰でも同じです。「何を見るか」の基準を持って、一歩一歩着実に進んでいきましょう!

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