【看護学生必見】呼吸のフィジカルアセスメントが実習でスラスラできる!山科先生の勉強会レポート
「フィジカルアセスメントって難しそう…」「呼吸の観察って何を見ればいいの?」と悩んでいる看護学生さんは多いのではないでしょうか。
2026年5月23日、Nurse Path+のオンライン勉強会で、現役看護師の山科雄一先生が「呼吸のフィジカルアセスメント」をテーマに徹底解説してくれました。山科先生は実際の臨床現場での経験をもとに、教科書だけでは身につかないリアルな視点をわかりやすくお話してくださいました。
この記事では、その勉強会の内容を看護学生でもわかりやすい言葉に落とし込んで解説します。実習で患者さんの呼吸を観察するとき、必ずこの知識が役立ちます!

そもそも「呼吸」って何をしているの?
フィジカルアセスメントを理解するには、まず「呼吸とは何か?」という基本から押さえることが大切です。山科先生は勉強会の冒頭で、この部分を丁寧に整理してくださいました。


呼吸の2つのしくみ:「換気」と「ガス交換」
山科先生によると、呼吸は大きく2つの動作に分けて考えることが大切です。
| 呼吸のしくみ | 内容 | どこで起きるか |
|---|---|---|
| ① 換気 | 空気(酸素)を肺に取り込み、二酸化炭素を外に出す「息をする動作」 | 気道・肺全体 |
| ② ガス交換 | 肺胞と毛細血管の間で、酸素を血液に渡し、二酸化炭素を受け取る動作 | 肺胞 |
山科先生はこのように説明されていました。「肺から入ってきた空気が肺胞に届き、そこにある毛細血管との間で酸素を送り込み、不要になった二酸化炭素を吸収して外に出す。この2ステップが呼吸の本質です。」
💡 ポイントまとめ:呼吸の基本
- 換気:空気を出し入れする動作(気道・肺)
- ガス交換:酸素を血液に取り込み、CO₂を排出する動作(肺胞)
- この2つのどちらかが障害されると「呼吸不全」になる
- フィジカルアセスメントでは「どちらが障害されているか」を見極めることが大切
正常な呼吸って何?まず「正常」を知ろう
山科先生は「異常を見つけるためには、まず正常を知ることが大事」とおっしゃっていました。では、正常な呼吸とはどういう状態でしょうか?
| 観察項目 | 正常の目安 |
|---|---|
| 呼吸数 | 12〜20回/分 |
| リズム | 規則的(大きくなったり、止まったりしない) |
| 顔色・表情 | 普通の顔色・苦しそうでない |
| 全体的な印象 | 静かで・楽そうで・規則的 |
山科先生のひと言がとても印象的でした。「教科書的な細かいパターン分類より、まず楽に呼吸しているかどうかを確認することがとても大事です。」

まとめ:パート1のポイント
✅ パート1まとめ
- 呼吸は「換気」と「ガス交換」の2つに分けて考える
- 正常呼吸のキーワードは「静か・楽・規則的」
- 呼吸数の正常値は 12〜20回/分
- 異常を見つけるには、まず正常を知ることが大事!
次のパートでは、山科先生が詳しく解説してくださった「呼吸不全(1型・2型)」とフィジカルアセスメントのABCDについてご紹介します。
呼吸不全の1型・2型って何が違うの?
呼吸のフィジカルアセスメントを学ぶ上で、「呼吸不全」の理解は欠かせません。山科先生は、1型と2型の違いを「換気」と「ガス交換」という軸で整理してくださいました。
呼吸不全とは、「十分な酸素が取り込めない」または「十分な換気ができない」状態のことをいいます。そしてこれは、パート1で学んだ「換気」「ガス交換」どちらかが障害されることで起きます。

1型呼吸不全と2型呼吸不全の比較
| 項目 | 1型呼吸不全 | 2型呼吸不全 |
|---|---|---|
| 別名 | 低酸素血症型 | 高二酸化炭素血症型 |
| 障害される機能 | ガス交換の障害 | 換気の障害 |
| 体内の変化 | 酸素が取り込めない(低O₂) CO₂は正常〜低め |
CO₂が溜まる(高CO₂) 酸素は正常な場合もある |
| 呼吸数 | 増加(速い) | 減少(遅く浅い) |
| 意識 | 比較的保たれる | 障害されやすい(頭痛・だるさ) |
| 代表的な原因疾患 | 肺炎、喘息発作、肺塞栓症、ARDS | COPD(最多)、間質性肺炎、ALS、パーキンソン病 |
| 急性・慢性 | 急性が多い | 慢性が多い |
| 対応 | 酸素投与 | 換気補助(BVMなど) |
⚠️ 注意:2型呼吸不全×高濃度酸素は危険!2型呼吸不全の患者さんにCO₂が溜まっている(CO₂ナルコーシス)状態で、安易に高濃度の酸素を投与すると呼吸が抑制されて状態が悪化します! これが「CO₂ナルコーシス」です。SpO₂が低いからといってすぐに高濃度酸素を入れることは避けましょう。
CO₂ナルコーシスって何?なぜ危険なの?
山科先生がとくに強調されていたのが、このCO₂ナルコーシスのメカニズムです。2型呼吸不全の患者さん(特にCOPDの方)では、以下のような悪循環が起きることがあります。
CO₂ナルコーシスの悪循環
① 換気が悪い → CO₂が体内に溜まる
↓
② 高CO₂状態 → 呼吸中枢が抑制される
↓
③ SpO₂が下がる → 「酸素が足りない!」と判断して高濃度酸素を投与
↓
④ さらに呼吸が抑制 → 呼吸停止・意識障害が悪化!
山科先生はこう言われていました。「SpO₂が下がっているから大丈夫じゃないかという判断だけで酸素を入れてしまうことが一番怖い。1型なのか2型なのかを意識したアセスメントがとても大事です。」

フィジカルアセスメントの基本:ABCDって何?
次に山科先生が解説されたのが、フィジカルアセスメントの全体的な流れです。臨床では「第一印象 → ABCD評価」という順で患者さんを観察します。
フィジカルアセスメントの流れ
| ステップ | 内容 | 具体的な観察 |
|---|---|---|
| 第一印象 | 「ヤバそう?大丈夫そう?」の大まかな評価 | 声かけへの反応・会話が成立するか |
| A(Airway) 気道 |
気道が開通しているか | 発声の有無・呼吸回数・呼吸パターンの異常 |
| B(Breathing) 呼吸 |
呼吸の状態 | 呼吸数・呼吸様式・努力呼吸・呼吸パターン |
| C(Circulation) 循環 |
ショックの兆候 | 脈拍・血圧・不整脈・クッシング徴候 |
| D(Disability) 意識 |
意識レベルの評価 | JCS・GCSなどで評価 |
今回の勉強会では特にAとB(気道・呼吸)に焦点を当てて解説されました。山科先生は「この順番で評価することが大切で、声かけへの反応がない場合はすでに緊急状態かもしれない」とおっしゃっていました。
問診で7〜8割の疾患が決まる!
山科先生が意外なほど強調されていたのが問診の重要性です。「問診で想定される疾患の7〜8割は決まる」とのこと。呼吸の問診で特に大事なポイントは以下の通りです。
🎤 問診の必須ポイント
- 「いつからしんどいですか?」→ 急性か慢性かを判断
- 「どんなときにしんどいですか?」→ 動いた時?安静時?
- 「急になりましたか?それともじわじわ悪くなりましたか?」→ これが最重要!


まとめ:パート2のポイント
✅ パート2まとめ
- 1型呼吸不全:ガス交換の障害 → 低酸素血症 → 対応は「酸素投与」
- 2型呼吸不全:換気の障害 → CO₂が溜まる → 対応は「換気補助」
- CO₂ナルコーシス:2型の患者に高濃度酸素を投与すると呼吸が止まる危険がある
- フィジカルアセスメントは 第一印象 → ABCD の順で評価
- 問診で「いつから?急に?じわじわ?」を必ず聞く
次のパートでは、山科先生が実際の症例を使ってクイズ形式で解説してくれた「観察のポイント」と「症例クイズ」を紹介します!実習に直結する内容なので、ぜひ一緒に考えてみてください。
実習で使える!呼吸の観察ポイントを徹底解説
山科先生が特に強調されていたのが「指針(視診)こそが呼吸アセスメントで最も大事」ということです。聴診器を使わなくてもわかることは非常に多く、まず「見る」ことが基本中の基本です。

視診で見るべき項目一覧
| 観察項目 | 異常のサイン | 何を意味するか |
|---|---|---|
| 呼吸数 | 25回以上 → 要注意 30回以上 → レッドゾーン! |
急変の最早期サイン。呼吸数は20秒カウント×3で測定 |
| 呼吸パターン | 不規則・速い・遅い・深い・浅い | 全体を「ざっくり把握」することが大切 |
| 努力呼吸 | 肩呼吸・鼻翼呼吸(鼻が広がる) 首の筋肉が浮き上がる |
呼吸補助筋を使って一生懸命呼吸している状態 |
| 胸郭の動き | 左右非対称 | 気胸などで非対称になることがある |
| チアノーゼ | 口唇・爪などが青紫色 | 低酸素血症の重要サイン |
| 発汗 | 冷や汗・大量発汗 | 低酸素・循環不全のサイン |
| 表情・意識レベル | 苦悶表情・反応低下・不穏 | 低O₂または高CO₂による脳への影響 |
💡 呼吸数測定のコツ
- 20秒間カウントして×3で1分間の呼吸数を算出
- 患者さんに「呼吸を数えています」と気づかれないようにすると、より正確に測れる
- 呼吸数の変化は急変の最早期サイン!血圧や脈拍が変わる前に呼吸数が変化することが多い
【症例クイズ解説】山科先生が出した実践問題にチャレンジ!
勉強会では山科先生が複数の症例クイズを出題され、参加者が実際に答えながら理解を深めました。ここでは、その中からポイントとなる3症例をご紹介します。一緒に考えてみてください!
🩺 症例1:70代男性・SpO₂88%・肩呼吸あり
【症例】
- 70代男性、ベッドに臥床中
- 呼吸回数:32回/分
- SpO₂:88%
- 本人「しんどい」と訴えあり
- 肩呼吸(努力呼吸)あり
- 湿性咳嗽あり
- 体温 38℃(発熱あり)


【解説】呼吸数が32回と多い=換気はできている状態です。しかしSpO₂88%と低下しており、酸素が体に取り込めていない(ガス交換の障害)ことがわかります。発熱・湿性咳嗽も合わせると、肺炎による1型呼吸不全が疑われます。対応は酸素投与が適切です。
🩺 症例2:COPD患者・SpO₂95%・ぼーっとしている
【症例】
- COPD既往あり、酸素3L/分投与中
- SpO₂:95%
- 呼吸数:約10回/分
- ぼーっとしていて話しかけても反応が乏しい
- 呼気延長あり(吐きたそうな呼吸)
【解説】SpO₂は95%と良好に見えますが、呼吸数が10回と少なく、意識障害があるのが最大の問題です。これはCO₂ナルコーシスの典型的な状態。酸素が多すぎることで呼吸が抑制されています。
「SpO₂が大丈夫だから安心」では絶対にダメ!この患者さんには酸素量を減らすことが第一選択の対応です。
🩺 症例3:登山中 vs 密閉トンネル(1型 vs 2型の比較)
| 状況 | 登山中(3000m地点) | 密閉トンネル作業中 |
|---|---|---|
| SpO₂ | 82% | 96%(正常) |
| 呼吸 | 深く速い | 浅く少ない |
| 意識 | 会話できる | 頭痛・眠気・反応鈍い |
| 問題 | ガス交換の障害(O₂不足) | 換気の障害(CO₂再呼吸) |
| 型 | 1型 | 2型 |
| 対応 | 酸素投与 | 換気(空気の入れ替え) |
山科先生は「SpO₂が低くても意識があって換気できている(登山)と、SpO₂が正常でも意識障害がある(密閉空間)では、全く異なる病態です。数字だけでなく、全体を見る習慣が大切です。」とまとめられていました。
勉強会のまとめ:呼吸アセスメントで最も大切なこと
山科先生が勉強会の最後におっしゃっていた言葉が、この日の学びをすべて凝縮していました。
「SpO₂が大丈夫だから大丈夫、ではやめてほしい。
呼吸努力・表情・会話・反応、それらをしっかり見ることが基本です。聴診しなくても、観察・問診だけで患者さんの異常に十分気づくことができます。」
— 山科雄一先生(2026.5.23 Nurse Path+ 勉強会より)

記事全体のポイントまとめ
✅ 呼吸フィジカルアセスメント まとめ
- 呼吸は「換気」と「ガス交換」の2つのプロセスで成り立っている
- 正常呼吸のキーワード:「静か・楽・規則的」、呼吸数12〜20回/分
- 1型呼吸不全:ガス交換障害 → 低酸素 → 酸素投与
- 2型呼吸不全:換気障害 → CO₂蓄積 → 換気補助(高濃度酸素は危険!)
- フィジカルアセスメントの順:第一印象 → ABCD
- 呼吸数が急変の最早期サイン!20秒測定×3で算出
- 問診で「いつから?急に?じわじわ?」を必ず確認
- SpO₂だけで判断しない!全体をしっかり「見る」
Nurse Path+では毎月こんな勉強会を開催しています
今回ご紹介した山科先生の勉強会は、Nurse Path+(ナースパスプラス)のオンラインスクールで行われました。Nurse Path+では、現役の看護師さんや専門家をゲストに招いて、実習・国試・臨床に直結する学びの場を毎月提供しています。
「フィジカルアセスメントのような実践的な内容をもっと学びたい」「実習前に自信をつけたい」という看護学生さんには、ぜひNurse Path+を覗いてみてください。
詳細はこちら → Nurse Path+(オンライン看護学生スクール)
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